研究課題
EGFR (epidermal growth factor receptor)-変異陽性(以下EGFR-mutant)肺腺癌にはepithelial-mesenchymal transition (EMT) を起こし、EGFR非依存性の癌細胞が含まれている。これらを細胞死させるにはtyrosine kinase inhibitor (TKI) によりEGFRのキナーゼ活性を抑制するのとは異なる新たな治療法が求められる。我々は、EGFR非依存性の癌細胞表面に特異的に発現する分子が同定されれば、その分子を標的とする抗体を用いた新規治療法が可能となると期待し本研究を行った。結果として、我々はangiotensin converting enzyme 2 (ACE2) がEGFR-mutant肺腺癌細胞HCC827由来のTKI耐性、EGFR非依存性亜株GR2 細胞に高発現する一方、親株(TKI感受性)には殆ど発現していないことを見出した。また原発性EGFR-mutant肺腺癌の少なくとも一部の癌細胞はACE2を背景の正常肺よりも強く発現していることも確認した。我々はさらにACE2に結合し、細胞に内在化されるmouse mAbを開発した。この新規開発した抗体をベースとするヒト化抗体と抗癌剤からなるantibody-drug conjugate (ADC) はEGFR-mutant肺腺癌治療に使用しうると期待している。
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Biochem Biophys Res Commun
巻: 487 ページ: 613-618
10.1016/j.bbrc.2017.04.102.
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