研究課題
予後不良な高悪性度肺がん発生の分子基盤について、本年度は間質性肺炎合併肺がんについて検討した。肺がん発生の危険因子として慢性炎症状態がリスクと見なされている。間質性肺炎には原因が特定できないもの(特発性間質性肺炎, IIP)があり、喫煙習慣を有した例が多く、肺がんの合併が多いことは知られている。本年度は、IIP合併肺がん、特に肺腺がんの病理学的特性を明らかにした。外科手術により切除された肺がん例について、特発性間質性肺炎(IIP)合併肺がん群 (IIP群)とIIP非合併肺がん群(非IIP群) に分類し、研究対象とした。組織型、肺腺がん組織亜型、細胞亜型、病理病期は国際分類に従い診断した。細胞亜型分類については、TRU型肺腺がん、非TRU型肺腺がんに分類した。mucin family protein,の発現を免疫組織学的に検討した。染色結果はスコア化し、統計学的に解析した。IIP群と非IIP群を比較して、IIP群ではMUC1、MUC7、MUC21の発現スコアが有意に低い値を示した。一方、MUC4 、MUC5AC、MUC5B、MUC9においてはIIP群で有意に高い発現スコアを示した。対象をTRU型肺腺がんに絞って検討した場合においては、MUC1においてIIP群で有意に低い発現スコアを示し、MUC4、MUC5B、MUC9においてはIIP群で有意に高い発現スコアを示した。非TRU型肺腺がんに絞った検討においては、各種MUCの発現スコアについてIIP群と非IIP群の間において有意な差は認めなかった。MUC21の発現についてはIIPとの直接的な相関は認められなかったが、組織亜型について、micropapillary 亜型, lepidic亜型 のうちlow papillary typeを含む割合が有意に高く認められた。
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