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2015 年度 実施状況報告書

筋萎縮性側索硬化症の形態学的初発変化の特定と新規治療ターゲットの提示

研究課題

研究課題/領域番号 15K08368
研究機関東邦大学

研究代表者

狩野 修  東邦大学, 医学部, 講師 (20459762)

研究分担者 石川 由起雄  東邦大学, 医学部, 客員講師 (30276894)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード筋萎縮性側索硬化症 / 脱神経 / 炎症
研究実績の概要

筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の剖検2例から横隔神経や坐骨神経の全長とそれぞれに対応したレベルの脊髄を採取し、炎症を含めた病変の拡がり・程度を分子病理学的に評価した。
ALSモデル動物である変異SOD1トランスジェニック(mSOD1Tg)マウスの実験に関しては横隔神経において、野生型マウスと比較して多数のCD68陽性細胞が検出され、単球由来細胞の浸潤増加を確認した。また、野生型マウスの坐骨神経結紮により脱神経を誘導すると、腓腹筋におけるAChRγサブユニットの有意な上昇がみられる結果も得られた。これらの実験の結果から、ALS患者ならびにマウス末梢神経における単球及び単球由来マクロファージの浸潤程度や脱神経の程度を定量的に評価することが可能となった。
その他脊髄、末梢神経、筋肉を分離し定量RT-PCR用と病理組織用に分けて採取した。野生型マウスと比較しALSモデルマウスでは脱神経、末梢神経の炎症とも55日以降で有意にみられていた。脱神経と末梢神経の炎症性病変が屠殺した同時期に見られたため、その時期の組織及びその前後の観察時期に対応した組織についてもさらに薄切をし,切片数を増やし,両変化の正確な時期の再評価を行っている。
一般にmSOD1Tgマウスは生後77日目頃に発症し、生後130日前後に死亡することが知られている。発症以前(55日目)の末梢神経並びに神経筋接合部の形態病理学的な変化が観察され、ALSの病態解明に近づいていると確信している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

剖検例を用いた研究では目標症例数に届かず遅れている。一方マウスの実験では当初の計画より進展がみられ、脱神経、末梢神経の炎症を定量RT-PCR法、蛍光免疫染色で評価することができた。

今後の研究の推進方策

ALS剖検例とALSモデルマウスの両方で脊髄、末梢神経における炎症の役割を評価していく。脊髄・末梢神経の炎症性病変が神経保護的作用を有するのか、あるいは神経組織に対して傷害的な役割を演じているのかを各種マーカーを用いて検討していく。

次年度使用額が生じた理由

脊髄、末梢神経のそれぞれにおいてT細胞が浸潤し、マイクログリア/マクロファージを調節している。神経傷害性のサイトカインを放出するM1タイプと神経保護的なサイトカインを放出するM2タイプに分けられ、これらを定量RT-PCRで測定することによって炎症の作用を評価する予定である。

次年度使用額の使用計画

薬品(ホルマリン等)に加え、RT-qPCR用試薬キットに加え抗体(NOX2,IL-4等)を購入予定である。
RT-qPCR試薬キットの追加購入は、脱神経と末梢神経の炎症性病変が屠殺した同時期に見られたため、その時期の組織及びその前後の観察時期に対応した新たな組織についての検討が必要になったためである。
抗体に関しては各種サイトカインを神経保護性、傷害性の両面からの評価するためヒト、マウスの二次抗体も含め各10種程度のサイトカイン測定を予定している。

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公開日: 2017-01-06  

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