研究課題
[目的] 「間質性肺炎/肺線維症から細気管支上皮の増生、異型腺腫様過形成(AAH)、上皮内腺癌(AIS)、微小浸潤性腺癌(MIA)、置換型腺癌lepidic growth patternの腺癌へと進展するのではないかとの仮説のもとに、肺線維症を基盤に発生する肺腺癌と合併しないものを臨床病理学的に比較する。[方法] 肺線維症を基盤に発生する肺腺癌と合併しないものの手術材料を検討し、AAH病変、肺胞の細気管支化(bronchiolization, bronchial metaplasia)の病変について違いを検討した。肺腺癌部位、または線維化部分との位置関係も検討した。[結果] 肺腺癌手術例の全症例でみると、間質性肺炎/肺線維症などの間質性病変が20.6%、AAHなどの肺胞上皮の増殖病変が23.6%、多発癌の症例が13.2%ほど見られた。肺胞の細気管支化の病変が23.5%もの高い頻度で認められた。AAHと肺胞の細気管支化病変が、優位に肺線維症を基盤に発生する肺腺癌症例の方で多かった。またTumor infiltrating lymphocytesにPD-1、腫瘍細胞にPD-L1がしばしば染色された。この頻度は間質性肺病変の合併の有無とは関係がなかった。[結論]AAHと肺胞の細気管支化病変が、優位に肺線維症を基盤に発生する肺腺癌症例の方で多かった。またTumor infiltrating lymphocytesにPD-1、腫瘍細胞にPD-L1がしばしば染色された。肺の線維化機序と肺胞の細気管支化の病変が深く関係していることを示唆した。また腫瘍細胞のPD-L1の陽性の割合が腫瘍の大きさと関連し、AIS,MIAから浸潤がんへの進展にも関連しているのではないかと示唆された。
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