研究実績の概要 |
子宮内膜癌における形態学的特徴を組織標本及び細胞診標本について検討した。特に子宮内膜癌103例に見られる扁平上皮への変化について核異型の有無、程度、出現頻度等を検討した。扁平上皮化生はは58%で出現し、出現群と非出現群では臨床病理学的に差異は認めなかったが、細胞診で陽性の60例の中で70%の症例で組織診と細胞診双方で扁平上皮化生が認められたが異型はみられなかった。残りの30%の症例では扁平上皮化生が認められたが異型はみられなかった。扁平上皮化生に異常は見られなかった症例より異型の見られた症例がより高分化な症例であった。また脈管侵襲は扁平上皮化生に異型の見られた症例が異型のみられなかった症例より高度である。(Toomine Y, Kaku T. Diagnostic Cytopathology 2016;遠峰、加来.日本臨床細胞学会 2017)基盤的研究として培養細胞で二核細胞(一つの細胞質に2つの核を有する細胞)は正常でも出現するが、癌ではより多く出現することが報告されている。そこで二核細胞形成のメカニズムや、その性質についてHela cellを用いて研究し、出現頻度、二核細胞の形成のメカニズムを検討し、0%培地でより多くの二核細胞形成を誘導していることを報告した(Nsihimura K, et al. Cytotechnology 2016、西村、加来.日本臨床細胞学会 2017))。また我々は、栄養改善が行われると、分裂をする能力を回復できるものの存在が示唆された(Nsihimura K, Watanabe S, Kaku T. et al. Biosci Biotechnol Biochem 2018; 2:1-6)。“正常でも出現するが悪性で増加する二核細胞の性質”を解明し、判定項目に加えることで、細胞診断の精度をあげることが可能であると考え研究を進めている。
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