研究課題
細胞間タイト結合蛋白であるclaudinの大腸癌における臨床病理学的役割を明らかにするために、大腸癌手術症例とヒト大腸癌培養細胞を用いて検討した。今年度の研究実績としては、ヒト大腸癌リンパ節転移株SW620細胞の免疫細胞化学によるclaudin-1とclaudin-4の発現を検討し、原発巣由来株Caco-2細胞との発現比較を行った。その結果、claudin-1の発現は、原発巣由来細胞においては細胞膜に発現していたものが、転移巣由来細胞では細胞質に発現していた。また、claudin-4は原発巣由来株では細胞質に発現していたが、転移巣由来株では細胞質陰性、核陽性であり、核に発現していた。次に、Claudin-1のsiRNAを作製し、siRNA導入による発現抑制をreal time PCRとwestern blotで確認した後、wound healing assayとMTTアッセイ、ヘキスト染色により大腸癌の遊走能と増殖能に与える影響について検討した。wound healing assayでは96時間培養後のCaco-2細胞と120時間培養後のSW620細胞において、claudin-1発現抑制による遊走能の低下を認めた。MTTアッセイとヘキスト染色では、Caco-2細胞とSW620細胞のいずれにおいてもclaudin-1発現抑制による生存率(増殖能)の低下とアポトーシスの減少を認めた。また、その低下と減少の割合は、Caco-2細胞よりもSW620細胞において強く認められた。以上よりclaudin-1の発現は大腸癌遊走能と生存率(増殖能)を高め、アポトーシスを増加させ、アップレグレーションとして作用している可能性があることが判明した。
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Oncology letters
巻: 15 ページ: 99-108
10.3892/ol.2017.7281
香川県立保健医療大学雑誌
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