大腸癌は腺管組織を構成する上皮細胞より発生し、遺伝子変異を蓄積する。我々は腺管組織を取り囲む間質組織の役割に着目した。2例の大腸癌の正常および癌組織を対象に、腺管分離法を用いて、それぞれから腺管組織と間質組織を分離・回収した。DNAメチル化の網羅解析を実施し、各分離組織のDNAメチル化プロファイルを得た。正常腺管と癌腺管のメチル化プロファイルの違いは、癌細胞の発育・進展に関わる癌抑制遺伝子などの存在を示唆した。一方、正常間質と癌間質の間では、少数だがメチル化レベルが大きく異なる遺伝子が確認された。エピジェネティクス機構による癌間質の機能変化が大腸癌において重要な役割をする可能性が示唆された。
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