研究課題
悪性腫瘍の中には、こう悪性度、予後不良といわれる型のものがある。例えば、乳癌では Triple negative (TN) 型(ER陰性、PgR陰性、HER2陰性)の導管型浸潤癌は、ホルモン治療やハーセプチン治療が無効で、neoadjuvantやadjuvant化学療法の有効性も低いため、非常に予後が悪いことが知られている。このような腫瘍に高発現する分子の一つとして MCM2 (minichromosome maintenance 2) に注目した。TN乳癌ではMCM2が非常に効率かつ強く発現されている。我々はこれまで、マウスを用いた実験によりMCM2を介したアポトーシス増強作用の機序を解明してきた。そこで、本研究ではまずMCM2発現の高い悪性腫瘍細胞株を用いたin vitroの実験系でこの現象を再現し、新たなアポトーシス誘導経路に関わるMCM2の作用を明らかにするとともに、それを応用した治療モデルの作成を目的として研究を進めた。具体的にはリコンビナント蛋白としてgp70を細胞内に導入する手法を開発し、白血病細胞及び上皮性の固型腫瘍細胞においてMCM2の作用を応用したアポトーシス誘導実験系を構築した。In vitroでの実験ではほぼ予想通りの結果が得られたので、さらにin vivoの腫瘍に対する治療実験を行って有効性を検証した。白血病に関してはすでにマウスの実験で有効性を証明しているが、白血病のみならず固型腫瘍に対しても非常に良好な結果が得られることが明らかとなった。
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Blood
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Pathology International
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