研究課題/領域番号 |
15K08396
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
石井 陽子 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 准教授 (00361949)
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研究分担者 |
笹原 正清 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 教授 (20154015)
山本 誠士 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 助教 (10456361)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | PDGF / 神経幹細胞 |
研究実績の概要 |
Rosa26 mCherry+/-;ERTM-Cre+/-;PDGFRα floxed+/+ mouse から採取した神経幹細胞4OH-tamoxifen を投与し、PDGFRα KO 神経幹細胞/前駆細胞 (NSPCs)を作成し、control細胞と比較評価した。Rosa26 mCherryにより、PDGFR-α KOとなった細胞にmCherryが発現し、同一培地の中で非KO細胞と比較できる。PDGFRα KO NSPCsは、neuronとoligodendrocyteへの分化能が抑制されたが、PDGFRα KO細胞でありながらneuronとoligodendrocyteへ分化する細胞成分も認められたが遊走能は著明に低下した。neuronとoligodendrocyteへの分化はPDGFRα シグナリングに完全に依存していないが、遊走能は依存していることが示唆された。以上はIn vitroのNSPCsに4OH-tamoxifen を投与し、PDGFRα KOを誘導した場合であるが、in vivoでRosa26 mCherry+/-;ERTM-Cre+/-;PDGFRα floxed+/+ mouseにtamoxifenを投与しPDGFRα KOを誘導した後にNSPCsを分離培養して得られたPDGFR-α KO NSPCsは、上記と異なったphenotypeを示した。PDGFRα KO 誘導後1週間のmouseから培養したNSPCsはin vitroでPDGFRα KOを誘導したNSPCsに類似したphenotypeとなったが、PDGFR-α KO 誘導後2週間のmouseから培養したNSPCsはneuronとoligodendrocyteへの分化能力と遊走能が回復した。培養前のin vivoの脳室下帯を免疫組織学的に解析するとMusashi-1陽性神経前駆細胞が増加していた。PDGFRα KOはin vivo においてNSPCsの活性化、再動員を刺激する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時の研究計画のうち、平成27年度予定の1) PDGFRα KO KO培養神経幹細胞の分化能、遊走能、増殖能、細胞周期の変化を検証、2) PDGFRα KO conditional knockout mouseのSVZおよびSGZにおける神経幹細胞動態の評価を概ね終了した。平成28年度以降の研究計画のうち、1) PDGFRα KO神経幹細胞における遺伝子発現の解析を終了した。平成28年度以降の研究計画のうち2) 脳虚血病変病変により誘導されるSVZの神経幹細胞活性化の評価は、生理的状態で有意差が出ない場合に行う予定の計画であったため実施しない方針とした。
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今後の研究の推進方策 |
mRNAマイクロアレイとpathway analysisの結果、神経細胞の軸索伸長に関する遺伝子の低下等が見いだされた。今後はこれらの因子について詳細に解析し、形態学的差異に至ったメカニズムを解明に迫る予定である。また、in vivoでPDGFRα KOを誘導すると脳室下帯においてNSPCsの活性化、再動員を刺激する可能性が示唆されたが、そのメカニズムの解明も試みる。
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