研究実績の概要 |
生後1日目mouseより分離したPDGFR-α KO 神経幹細胞、およびコントロール神経幹細胞のそれぞれにおいて、未分化で浮遊neurosphereの状態、分化誘導3日目の細胞を回収し、mRNAマイクロアレイ解析、pathway analysisを行った。コントロール神経幹細胞では、neurosphereの状態から分化誘導3日目の細胞にかけて、Axonal guidance signaling, Grutamate receptor signaling、GABA receptor signaling、CREB signaling in neurons, Neuregulin signaling等に関連する遺伝子群の発現増加が見られたが、PDGFR-α KO 神経幹細胞には上記遺伝子群の発現増加は乏しかった。このため、分化誘導3日目の細胞ではコントロール神経幹細胞に比してPDGFR-α KO 神経幹細胞は上記遺伝子群の発現低下が見られた。pathway analysisの結果、特にAxonal guidance signalingで、Sema5a, Plexnb3, Bmp4, Shhの差異に着目し、qRT-PCRを行ったところ、PDGFR-α KO 神経幹細胞でいずれも有意な発現増減が認められた。PDGFR-α KOによる神経幹細胞の遊走能低下は、上記の遺伝子発現の変化が関与することが示唆されたが、これらの遺伝子とPDGFR-αとの結びつきに関して、さらなる検討が必要である。
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