研究課題
前年度に作製した Girdinチロシンリン酸化部位の変異マウス Girdin Y1764,1798F (以下 Girdin YY)と、GirdinのGEF活性を喪失する変異マウス Girdin F1696A (以下 Girdin FA)の解析を続けた。Girdin YYマウスは脳の構造に明らかな異常はなく、Girdin KOマウスでは著明な異常が起こる海馬、嗅球・RMSの構造も保たれていた。一方、Girdin FAマウスにはGirdin KOマウスと同様の海馬、嗅球・RMSの異常が起こっていた。しかし、左右の嗅球・大脳を神経線維で繋ぐ前交連を調べると、Girdin KOでは欠損が起こるのに対し、Girdin FAマウスでは前交連は保たれていた。従って、GirdinのGEF活性はGirdinの機能の全てではなくて部分的であることが分かった。また、以前の研究により、癌周囲の線維化や創傷治癒の過程で、病巣に移動する線維芽細胞において GirdinがAktによるセリン残基リン酸化制御を受けることが分かっている。今回、線維化の際のGirdinのチロシン残基リン酸化を調べたところ、線維芽細胞でリン酸化が起こることが分かった。In vivoでの機能を調べるため、GirdinのAktリン酸化部位変異マウス Girdin S1416A (以下 Girdin SA) とGirdin YYマウスを用いて、四塩化炭素の腹腔内投与による肝臓線維化の実験を行ったところ、Girdin SAマウスでは線維化が抑制されたのに対し、Girdin YYマウスでは線維化の程度に変化がなかった。このことは、肝線維化のモデルにおいては線維芽細胞の移動にはGirdin Y1764およびY1798のリン酸化は必要ではないことを示唆するものと考えられた。
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