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2016 年度 実施状況報告書

筋肉細胞の細胞-細胞外基質間相互作用を利用した新しい重症心不全治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 15K08401
研究機関大阪大学

研究代表者

河口 直正  大阪大学, 医学系研究科, 特任准教授(常勤) (70224748)

研究分担者 濱田 吉之輔  大阪大学, 医学系研究科, 特任准教授 (10362683)
内仲 彩子  名古屋大学, 医学系研究科(保健), 助教 (40746921)
松浦 成昭  大阪大学, 医学系研究科, 特任教授 (70190402)
森 誠司  大阪大学, 医学系研究科, 招へい教授 (90467506)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード再生医療
研究実績の概要

前年度に作製、確立したラミニン211のα2鎖ラミニンGモジュール(以下LGとする)分泌線維芽細胞とラット骨格筋より単離した筋芽細胞を温度応答性培養皿により細胞シート化した。LG分泌線維芽細胞シートと筋芽細胞シートを心不全心に同時移植し、移植した筋芽細胞のhost心臓における生着率を検討した。
ヌードラットの左冠状動脈前下行枝を結紮し、虚血性心筋症モデルラットを作製し結紮2週間後に細胞シートを移植した。実験群は、筋芽細胞のみ移植した群(SKM群)、筋芽細胞と線維芽細胞を移植した群(SKM+F群)、筋芽細胞とLG分泌線維芽細胞を移植した群(SKM+LGF群)の3群に分けた。移植1、2および4週後、細胞シートを移植した梗塞領域の骨格筋細胞に特異的に発現しているネブリンのRNA量を定量PCRで計測し、筋芽細胞のホスト心臓における生着率を評価した。
移植1週間後では、SKM+LGF群、SKM+F群でSKM群に比較してネブリンのRAN量は有意に高値であった。移植2週間後では、SKM+F群のネブリンRAN量は著明な減少を認めたが、SKM+LGF群では、SKM群、SKM+F群に比較してネブリンRAN量は有意に高値であった。移植4週間後では、SKM+LGF群とSKM+F群の間にネブリンRAN量有意な差はなかった。さらに、移植した筋芽細胞シートより分泌される成長因子について検討を行った。梗塞領域の心筋組織中のインスリン様成長因子(IGF)、肝細胞増殖因子(HGF)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)をELISA法により測定した。その結果、細胞移植して2週間後まで、SKM+LGF群でSKM群、SMK+F群に比較してIGF、HGF、VEGFともに有意に高値であった。
以上の結果より筋芽細胞とラミニン211分泌線維芽細胞を同時に心不全心に移植することにより移植する筋芽細胞の生着率を高めることが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の研究計画通り、前年度に作製・確立したラミニン211分泌線維芽細胞を用いて筋芽細胞とラミニン211分泌線維芽細胞を同時に虚血性心筋症モデルラットに移植することにより移植した筋芽細胞のホスト心筋への生着率を検討した。
ラミニン211分泌線維芽細胞と筋芽細胞を同時に移植することにより、筋芽細胞細胞のみの移植に比較し移植した筋芽細胞のホスト心筋組織への生着率が有意に高値であることを示した。さらに、生着率の向上により移植した筋芽細胞から分泌される成長因子の分泌増加を確認した。

今後の研究の推進方策

心不全心へのラミニン211(以下LGとする)分泌線維芽細胞シートと筋芽細胞シートの同時移植による心機能改善効果について以下の方法で検討する。
1)心機能評価
ヌードラットにより作製した虚血性心筋症モデルの不全心に ①LG分泌線維芽細胞シートと筋芽細胞シート ②線維芽細胞シートと筋芽細胞シート ③筋芽細胞シート のみをそれぞれ移植する。細胞シートを移植しない対照を含め4実験群とする。心エコーにて移植後2週、4週、6週、8週に左室収縮率、左室断面積、左室前壁厚を計測し心機能を評価する。
2)左室リモデリングおよびアポトーシス抑制効果の検討
細胞シート移植後8週後に犠牲死せしめ、心臓を摘出し梗塞近傍領域における心筋線維化量および心筋細胞横径、左室壁の菲薄化および左室腔の拡張を計測し心筋リモデリング抑制効果について検討する。さらに血管新生作用についても検討する。
同様にPARP、cleaved PARP、Bcl-2の発現をウエスタン・ブロット法によりアポトーシスの定量を行う。さらに、組織学的にタネル染色も施しアポトーシス抑制効果についても評価する。

次年度使用額が生じた理由

予定していた試薬(抗体)を購入する必要がなくなったため。

次年度使用額の使用計画

繰り越した経費は、試薬の購入に充てる予定。

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公開日: 2018-01-16  

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