研究課題/領域番号 |
15K08402
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
水野 信哉 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10219644)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | HGF / c-Met / 骨髄移植 / GVHD / 樹状細胞 / マクロファージ |
研究実績の概要 |
骨髄移植のマウスモデル(骨髄キメラマウス)をKuroiwaら(2001)の方法に準じて作製し、移植片対宿主病(GVHD)に対するHGFの産生変動とHGF受容体の発現変化を解析した。血中HGF値の変化をELISAにより解析したところ、腸炎や肝炎の進展に一致して血漿HGF値が有意な上昇を示すことが判明した。HGFの産生部位を明らかにすべく、リアルタイムPCRを行ったところ、GVHD発症に前後して、肺や脾臓、腎臓、肝臓などの各臓器でHGF mRNA, HGF receptor/c-Met mRNAが有意に上昇していた。血中HGF上昇に伴い、各臓器の上皮系組織においてHGFおよびc-Metのタンパク発現が上昇する事もELISAやウエスタンブロット解析により明らかとなった。パラフィン包埋した各臓器について免疫組織化学的にc-Metの局在を調べたところ、肝細胞や小腸粘膜細胞といった上皮系組織において強い発現が確認された。またマクロファージや樹状細胞と思われる細胞にc-Metの発現が誘導されている事も判明した。今回の検討により、GVHD進展に関して内因性HGF-c-Metシステムが動員される事によりGVHDによる組織傷害が抑制されている可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の目的であった骨髄移植マウスモデルの作製に成功している(大西、水野ら、J.Vet.Med.Res.2015に報告済み)。現在HGFおよびその受容体であるc-Metの産生変動を解析している。
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今後の研究の推進方策 |
骨髄移植マウス(アロ系統)でのGVHD病態進展におけるHGF-c-Met系の生理的機能を明らかにすべく、HGF中和抗体を投与する。またリコンビナントHGF製剤を投与し、GVHD病態改善に作用を示すとともに、樹状細胞に対するHGFの機能を解析してゆく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度は研究代表者が1年間延長した別の研究課題(基盤C、23590458)と実験試薬や機器の重複があったため、節約する事が可能であった。
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次年度使用額の使用計画 |
物品(消耗品および実験動物を含む)に8割を使用し、残り2割は旅費(研究打合せ、学会発表)やその他の項目(投稿料など)について適切に使用する予定である。
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