本研究の提案は「シャペロン分子クリスタリンの小胞体膜上への強制発現によって、タンパク質凝集体の形成・蓄積を阻害し得る」ことを見出した申請者の実績に基づく。小胞体膜周囲の微小環境に備わる凝集体形成阻害能の臨床応用に向けて、分子基盤の整備を目指した。期間内に小胞体繋留型クリスタリン結合分子を単離し、その中の一つ小胞体膜貫通タンパク質CLN6が凝集体形成阻害能を支える分子実体である点を示した。加えて、小胞体繋留型クリスタリンおよびCLN6の凝集体形成阻害能の有効性はTDP-43をはじめとする多様な疾患関連タンパク質にも及ぶことを明らかにし、小胞体マニピュレーションの汎用性を提唱した。
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