研究課題/領域番号 |
15K08406
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
塚本 善之 大分大学, 医学部, 助教 (00433053)
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研究分担者 |
守山 正胤 大分大学, 医学部, 教授 (90239707)
平下 有香 大分大学, 医学部, 医員 (70771955)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 胃癌 / DDX27 / 進行 / 分子標的 |
研究実績の概要 |
我々は進行胃癌と早期胃癌の遺伝子異常を比較することで、胃癌の発生および進行段階で蓄積される異常を同定してきた。特に、早期胃癌に比べて進行胃癌で有意に高頻度に検出される染色体20q13領域のゲノム増幅に注目し、そこに存在する胃癌関連遺伝子のスクリーニングを行った結果、DDX27を候補として同定した。DDX27発現亢進が胃癌の発生もしくは進行段階に関与するか否か、個体レベルで明らかにするために、平成27年度はDDX27トランスジェニックマウスの作成を続けた。コンストラクトベクターは申請時に既に完成していた。現在までにES細胞のスクリーニングまで進んだが、まだ個体を得るに至っていない。一方で、DDX27過剰発現細胞におけるDDX27の役割を明らかにするため、発現抑制実験を行った。その結果、DDX27を過剰発現している胃癌細胞では発現抑制により強いコロニー形成抑制能が観察された。平成28年度はDDX27過剰発現が胃癌の治療標的となり得るか明らかにするために、DDX27に対するshRNA発現細胞株を樹立し、動物へ移植し、腫瘍形成能を解析する。これにより、DDX27の個体での治療標的の可能性を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
代表者はDDX27が胃癌の進行つまり悪性化に関与するか、DDX27とその関連シグナル伝達経路が胃癌の新しい治療標的となるか、明らかにすることを目的としている。平成27年度はDDX27トランスジェニックマウスの作製において、コンストラクトを導入したES細胞のスクリーニングを行うところまで進んだ。さらに、shRNAを導入した胃癌細胞株を樹立し、機能解析を行うことで、DDX27が治療標的となる可能性を示すことに成功した。このように、当初の計画を全て完了し、来年度の計画につながる結果も得られた。したがって、研究計画はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度はDDX27トランスジェニックマウス作製のためのES細胞スクリーニングまで進んだ。トランスジェニックマウスの作製は引き続き行う。さらに、DDX27が胃癌の治療標的になり得る可能性が示された。今後は個体レベルでDDX27が治療標的となり得るか明らかにしていくとともに、どのようなメカニズムで癌化に関与するか、明らかにする。これにより、DDX27が関わるパスウェイを決定し、治療戦略の幅を拡げる。このようなシグナル伝達経路の解析には、リン酸化タンパク質アレイ(Proteome Proflar)を用いる。
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次年度使用額が生じた理由 |
次の計画として、shRNAを導入した胃癌細胞株をマウスへ移植することを予定していたが、まとまった数のマウス(20匹)を購入する予算が残っていなかったため、使用しなかった。そのため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
来年度、マウスを購入するための予算として使用する。
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