研究課題/領域番号 |
15K08410
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
大野 慎一郎 東京医科大学, 医学部, 助教 (90513680)
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研究分担者 |
熊谷 勝義 東京医科大学, 医学部, 助教 (20567911)
黒田 雅彦 東京医科大学, 医学部, 教授 (80251304)
原田 裕一郎 東京医科大学, 医学部, 助手 (80570168)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 炎症性サイトカイン / 核酸医薬 |
研究実績の概要 |
核酸に対する自然免疫応答は、投与する核酸の長さに強く依存することが知られている。応募者等が開発したus-miR-34aは、内在性の二本鎖miR-34aと比較して全長が2/3程度まで短縮されていることから、自然免疫応答を誘導しにくい核酸になっていると考えられた。核酸に対する免疫反応は、単球、マクロファージ、樹状細胞によって産生されるIL-6やTNFα等の炎症性サイトカインに起因する。ヒト末梢血より単球を分離し、短縮型miR-34aを導入後、炎症性サイトカインの産生をreal-time PCR法およびELISA法を用いて計測したところ、有意な炎症性サイトカインの抑制が見られた。また、生体における核酸に対する免疫応答の計測には、野生型(C57BL/6)マウスを用いた。キャリアーには毒性の低いキトサンを用いて、短縮型miR-34aを尾静脈より全身投与する。炎症性サイトカインの産生はELISA法を用いて計測したところ、生体内でも炎症性サイトカインの誘導抑制が見られた。miR-34aは最も強力な腫瘍抑制性miRNAの一つであり、肺がんに対する抑制活性が複数報告されている。肺がん細胞株を用いたin vitro assayでは、通常のmiR-34aと同等の増殖抑制活性がus-miR-34aに認められているが、生体内における腫瘍抑制能は不明である。従って、肺がんモデルマウスを用いてus-miR-34の腫瘍抑制効果を測定した。肺がんモデルには、100%の確率で肺がんを発症する活性化型変異KRASノックインマウス(KRASG12Dマウス)を用いた。結果、us-miR-34a投与群で、有意な腫瘍の抑制が認められた。以上の成果は、第104回日本病理学会および第7回日本RNAi研究会にて発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度では、炎症性サイトカインの分泌抑制の検証および、生体内における肺がん抑制の検証を主に行った。結果、ヒト単球を用いた検証および野生型マウスを用いた検証実験で、短鎖型核酸医薬のIL-6やTNFα等の炎症性サイトカインの誘導が抑制されていることが明らかとなった。また、肺がんモデルマウスを用いて、生体内における肺がん抑制効果を検証したところ、これまでにVitroの実験で得られていた短縮型核酸医薬の腫瘍抑制効果と同様の結果が、生体内においても観察できた。従って、ほぼ計画通りに進行している。
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今後の研究の推進方策 |
これまで短縮型核酸医薬のVitroおよびVivoにおける腫瘍抑制効果を明らかにした。今後は、マウスを用いた実験の再現性を検証しつつ、短縮型核酸医薬の機能性を解析する。はじめにパッセンジャー鎖の無効化の検証を行う。通常の合成miRNAは、本体であるガイド鎖と半相補的なパッセンジャー鎖の二本鎖である。ガイド鎖による標的遺伝子の発現抑制を目的に使用されるが、実はパッセンジャー鎖も相補的な配列を有する遺伝子の発現抑制に働く。多くの場合、このパッセンジャー鎖は望まない遺伝子抑制に働くため、副作用の原因になると考えられる。応募者等の考案した短縮法は、その過程でパッセンジャー鎖のシード配列が失われるため、パッセンジャー鎖による遺伝子抑制は無効化されていると考えられる。短縮型によるパッセンジャー鎖の遺伝子抑制の無効化は、GeneChip発現解析を用いて網羅的に行う。二本鎖miR-34aの導入でノックダウンのかかるmRNA群の中からmiR-34aのパッセンジャー鎖(miR-34a*)の標的遺伝子をmiRNA標的予測アルゴリズム(TargetScanS, miRanda等)を用いて抽出し、それらがus-miR-34aの導入ではどのように変動するか解析する。また、細胞膜透過性の計測、組織浸透性の計測を行う。核酸は短いほど細胞への導入効率が高くなるのが一般的である。蛍光標識したus-miR-34aを肺がん細胞株へ導入した際の取り込み効率をIn cell analyzerもしくはFlow cytometerを用いて解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額は大きい額ではなく、計画通りである。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は大きくないので、次年度の研究計画に変更はない。
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