研究実績の概要 |
核酸に対する自然免疫応答は、投与する核酸の長さに強く依存することが知られている。応募者等が開発したGuide hairpin RNA-34a (ghR-34a) (初年度まではus-miR-34aと呼称していたもの)は、内在性の二本鎖miR-34aと比較して全長が2/3程度まで短縮されていることから、自然免疫応答を誘導しにくい核酸になっている。2015年度は、野生型(C57BL/6)マウスの尾静脈からの全身投与し、血液中の炎症性サイトカインの産生をELISA法にて計測した。2016年度は、眼球への硝子体注射による局所投与にて、生体内でも炎症性サイトカインの誘導抑制が見られることを確認した。2017年度は、ghRNAに種々の化学修飾を付加し、RNA分解酵素耐性およびRNA干渉活性の増強の検討を行った。miR-34aは最も強力な腫瘍抑制性miRNAの一つであり、肺がんに対する抑制活性が複数報告されている。従って、肺がんモデルマウスを用いてghR-34aの腫瘍抑制効果を測定した。生体内における有意な腫瘍抑制効果がみられ、実験の再現性の確認がとれた。ghRNAが核酸短縮化技術として、汎用性があることを調べるために、他のmiRNAに適用出来るか検証した。let-7a, miR-29bの配列からghRNA (gh-let-7a, ghR-29b)を作成し、各々の標的遺伝子であるHMGA2, TGFB3の抑制効率で評価した。その結果、gh-let-7a, ghR-29b共に通常の二本鎖の形態と同等の抑制活性が認められた。以上の成果は、原著論文としてMolecular Therapy誌に投稿し、掲載された。また、第19回米国遺伝子治療学会年会(ASGCT 2016 Annual Meeting, Washington, DC, USA)にて発表を行った。
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