研究課題/領域番号 |
15K08425
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
千葉 陽一 香川大学, 医学部, 講師 (30372113)
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研究分担者 |
上野 正樹 香川大学, 医学部, 教授 (30322267)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 細胞老化 / 神経変性疾患 / 老化促進モデルマウス / 神経細胞 |
研究実績の概要 |
本研究は、神経細胞の細胞老化が加齢性神経変性疾患の病態形成に関与するか否かを明らかにすることを目的とする。平成27年度はまず、個体の促進老化と、Aβ過剰産生を伴う学習記憶障害を自然発症するSAMP8マウスと、遺伝的に近縁ながら正常老化を示し、中枢神経系に異常を示さないSAMR1マウスの胎生17日齢胎仔大脳皮質由来神経細胞の長期培養のための条件検討を行った。培養開始翌日に培地を全量(24 well plateの1 wellあたり500 μl)交換し、4週目に100 μlの新鮮培地を添加するというプロトコールで培養を行った結果、最低8週間は試験管内で安定的に維持可能であり、この期間内では両系統由来の神経細胞の生存率には明らかな差は見られなかった。この結果を踏まえ、長期培養の期間を8週間とし、2、4、6、8週目にサンプリングを行うこととした。現在本実験が進行中である。予備実験での検討を含め、SAMP8マウス由来神経細胞ではSAMR1マウス由来神経細胞に比べて、老化関連βガラクトシダーゼ(Senescence-associated β-galactosidase: SA-β-gal)陽性細胞が早期より増加している傾向がみられた。非分裂細胞におけるSA-β-gal発現の意義は明確ではないが、個体レベルでの老化促進に対応する可能性がある変化が培養神経細胞でも観察されたことは興味深い。 また、本年度はSAMR1、SAMP8マウスの長期飼育を開始した。4週齢にて購入したSPFマウスをコンベンショナル環境下でSAMP8マウスは52週、SAMR1マウスは104週まで飼育し、8、30、52、104週齢においてパラホルムアルデヒドで灌流固定し、半脳はパラフィン包埋、残りの反応は凍結包埋して免疫組織学的検討に供する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度は神経細胞の長期培養条件の検討とサンプリング、神経細胞における細胞老化マーカーのin vivoでの発現解析のための脳組織サンプリングに着手し、一部の解析を開始した。免疫細胞化学による細胞老化マーカーの染色条件検討にも着手しており、おおむね計画通りに進展しているものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続き、長期培養した初代培養神経細胞のサンプリング(PFA固定、蛋白質、RNA、培養上清)を継続し、順次細胞老化マーカーならびにAβの発現解析を行う。また、順次マウスを導入して長期飼育し、経時的に灌流固定後脳をサンプリングし、免疫染色による解析を行う。培養細胞のサンプリングと合わせて、細胞老化関連シグナル分子の薬理学的活性化・抑制により、神経細胞老化マーカーやAβの発現がどのように変化するかに関しても予備的検討を行う。
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