研究課題/領域番号 |
15K08430
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
村垣 泰光 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (40190904)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 血管石灰化 / 血管平滑筋細胞 / 高リン血症 / 酸化ストレス |
研究実績の概要 |
本研究の目的はリン・カルシウム代謝異常(特に高リン血症)における腎尿細管上皮細胞および血管平滑筋細胞内における遺伝子発現の変化を検索し、腎尿細管間質線維化および血管石灰化の分子機序を解明することであるが、本年度はまず高リン刺激による血管平滑筋細胞石灰化について研究を進めた。本実験の目的は腎不全における高リン血症状態において動脈中膜に石灰化をきたす機序を解明することである。動脈平滑筋細胞が高リンに暴露された時、細胞内に酸化ストレスが働いて石灰化をきたすことを仮説として考え、酸化ストレス防御機構である、Keap1-Nrf2シグナル経路の変動を検索した。実験の方法は培養ヒト大動脈平滑筋細胞に高リン・高カルシウム培地で3日、7日培養し、Keap1およびNrf2の変動を免疫組織化学およびreal-time PCRで検索した。さらに平滑筋細胞のマーカーであるαSMAおよび骨化マーカーであるALP、CBFA1、Osteopontinの変動を調べることにより、平滑筋細胞から骨芽細胞への細胞分化転換を観察した。また石灰化の程度はvon Kossa染色およびカルシウム沈着量を定量することにより観察した。再度実験を繰り返して確認する必要があるが、現在までに得られた結果の概略は高リン高カルシウム刺激は細胞内Keap1-Nrf2シグナルを亢進し、酸化ストレス系を活性化するということである。Nrf2は細胞質から核に移行し、酸化ストレス防御遺伝子を活性化する。今後酸化ストレス反応と石灰化の程度との相互関係について研究を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
大学院生を指導しながら実験を進めているが、大学院生の実験テクニックが未熟なため実験がスムーズに行えていないのが最大の理由である。ただ、徐々にであるが改善がみられており、初期の計画にまで到達する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
とにかく実験を繰り返し、結果データをより確実なものにすることだけである。実験計画の変更は現在のところ考えていない。
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次年度使用額が生じた理由 |
細胞培養の条件設定などに時間を費やし、予定していた実験が十分にできなかったためと考える。
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次年度使用額の使用計画 |
実験技術の向上がみられるため、抗体など実験試薬の購入を多く予定しており、次年度は限度枠内の予算を使用する計画である。
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