研究課題/領域番号 |
15K08434
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
杉原 仁 日本医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60183414)
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研究分担者 |
長尾 元嗣 日本医科大学, 医学部, 助教 (10468762)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | メタボリックシンドローム / 肥満 / 過食 / 耐糖能異常 / モデルマウス |
研究実績の概要 |
研究実施計画に基づいて本年度は、「メタボリックシンドローム発症に至る摂食行動の特徴の把握」を中心に解析を進めた。具体的には、我々がこれまでに作成した耐糖能異常易発性および抵抗性(Prone系およびResistant系)の両系統のマウスを通常食または高脂肪食で5週齢から10週間飼育し、摂餌量、体重、血糖値等の推移を測定した。その結果、Prone系マウスにおける体重増加やそれに伴う糖代謝異常の増悪は、高脂肪食を投与することによって特に顕著となることを認めた。また、Prone/Resistant両系統間で体重に差を認めない5週齢の時点でProne系マウスは既に高脂肪食を過食する傾向を示した一方で、自発行動量に両系統間で顕著な差は認めなかったことから、Prone系マウスにおいて体重増加に起因するメタボリックシンドローム諸症状の発症の根源は、主に若齢期からの自発的な高脂肪食の過食にあるものと考えられた。そこで、摂食行動に寄与すると考えられる種々の血中ホルモンや視床下部における摂食調節ペプチド群についての解析を行った結果、5週齢の時点においては内臓脂肪組織重量にも両系統マウス間で差を認めない一方で、血中レプチン濃度や内臓脂肪組織におけるレプチン遺伝子の発現量には明らかな差異があることを見出した。これらの結果は、将来的に高脂肪食の過食によってメタボリックシンドロームの諸症状を発症するProne系マウスとそれらに抵抗性を示すResistant系マウスとの表現型の差異の発現において、体重差が顕在化する以前の若齢期における両系統間でのレプチン動態の差異が重要な役割を果たしている可能性を示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究実施計画であった「メタボリックシンドローム発症に至る摂食行動の特徴の把握」について、おおむねその目的を達成することができた。また、Prone/Resistant両系統間における摂餌量・体重増加の差異を規定すると考えられる若齢期の摂食行動について、それを規定する因子の探索を行い一定の成果を得た。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に得られた成果から次年度以降はまず、「摂食行動や内臓脂肪蓄積の差異を規定する遺伝的要因の解明」を進める。Prone/Resistant両系統間で体重差が顕著となる以前の摂食行動が重要と考えられることから、若齢期マウスでの解析を中心に行う。また、これまでの研究において、Prone/Resistant両系統間には、膵臓β細胞のグルコース応答性インスリン分泌能に明らかな差異を認めていることから、β細胞機能と摂食行動との関連についても新たに検討を加える。
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