研究課題
慢性腎臓病(CKD)の発症年齢や進行速度を左右する環境因子として、A) 積極的飲水、B) 塩分摂取、C) 蛋白質摂取がある。そこで、CKDの原疾患のひとつである多発性嚢胞腎症(PKD)のモデル動物において、幼弱期から環境因子を負荷し、環境因子が及ぼす影響をオミックス解析し、ヒトの先制医療に寄与することを目的とする。最終年度に得られた成果として、(1)ヒト常染色体劣性PKDとオーソローガスな遺伝子によって病態を発症するPCKモデル動物において、A) 積極的飲水とB) 塩分摂取を同時に負荷したところ、PKDのの進行に対する積極的飲水の有益な効果は、塩過負荷によってさえ影響されないことを示した。現在結果を投稿中である。また、(2)上記のPCKモデルをオミックス解析したところ、メタボロミクス解析結果より、TCA回路、 尿素回路、分岐鎖アミノ酸代謝および核酸代謝などの物質が高値を示した。一方、脂質代謝関連の代謝産物や糖代謝関連の代謝産物の低下が顕著であった。プロテオミクス解析結果と併せて報告準備中である。別に、(3)ネフロン勞のモデル動物であるpcyマウスにおいて、核酸代謝、TCA回路、 尿素回路、芳香族アミノ酸および脂質代謝に変化が認められることがメタボロミクス解析によって明らかとなった。プロテオミクス解析結果と併せて投稿準備中である。(4)網羅的リン酸化解析により、PCKラットでは17個、pcyマウスでは35個の蛋白質のリン酸化が有意に変化しており、現在詳細に検討中である。これらの結果を包括的にまとめ、ヒトの先制医療に寄与する研究成果に発展させる予定である。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 5件) 備考 (1件)
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