研究課題/領域番号 |
15K08438
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研究機関 | 千葉県がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
若林 雄一 千葉県がんセンター(研究所), 実験動物研究室, 室長 (40303119)
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研究分担者 |
磯貝 恵理子 千葉県がんセンター(研究所), 実験動物研究室, 上席研究員 (40300917)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | Meis1 / 化学発がん / Chipシーケンシング |
研究実績の概要 |
Meis1は白血病細胞において、Hoxa9と共発現することで細胞増殖を促すがん遺伝子として働くことが確認されているが、固形がんである肺腺がんにおいては、細胞増殖の抑制に機能することが明らかとなっている。このことから、固形がんにおけるMeis1は白血病細胞とは異なり、むしろがん抑制遺伝子に近い機能を示すことが推察された。しかし、現段階においては、Meis1が肺腺がんとは異なる他の固形がんにおいて同様に機能するかは不明である。また、Meis1の機能については細胞の表現型、すなわち細胞の増殖率や内在活性酸素量について盛んに解析が進められている一方で、その転写標的や下流の因子についての情報は乏しく、分子的な作用経路については未だに不明瞭な点が多く存在している。 申請者の在籍する研究室では、変異原性物質であるDMBA(dimethylbenz(a)anthracene)と炎症剤であるTPA(tetradecanoyl-phorbol-acetone)を用いた多段階皮膚発がん実験を日常的に行っている。この化学発がん実験は扁平上皮がんの形成から悪性化までマウスの皮膚において継時的に観察できる極めて稀な発がんモデルである。化学発がんにより誘発した悪性腫瘍および正常皮膚を対象に、anti-Meis1抗体を用いたChIP sequencingを行い、固形がんにおけるMeis1の転写標的を探ることで、腫瘍におけるMeis1の分子的な機能を明らかにすることを試みた。その結果、悪性腫瘍において48のMeis1結合ピークが検出された。次に、これらのピークがシス領域に存在すると考えられる遺伝子を抽出したところ10個の遺伝子が検出された。4つの遺伝子(Dedd2、Sh2b1、Cep120、Stk25)がMeis1の発現と連動することを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
化学発がんにより誘発した悪性腫瘍および正常皮膚を対象に、anti-Meis1抗体を用いたChIP sequencingを行い、そのデータ解析が順調に進んだ。その結果、Meis1の標的候補と思われる遺伝子を10個程度にまでせばめることができた。
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今後の研究の推進方策 |
Chipsequencingデータの解析は順調に進んだが、その特性上、ノイズ等が多く観察されるのも事実であり、さらにデータの検証や、培養細胞を用いた検証実験を進めていくことが必要である。
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次年度使用額が生じた理由 |
27年度はChip sequencingのデータ解析に時間の多くを割いたため、細胞培養関連試薬や分子生物学試薬類に関しては手持ちの試薬を使用することでまかなうことができたため。
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次年度使用額の使用計画 |
Chip sequencingデータの検証実験に時間の多くを割く予定のため、細胞培養試薬や一般試薬類を大量に購入する予定である。
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