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2016 年度 実施状況報告書

低酸素ストレス応答が制御する発がん機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 15K08438
研究機関千葉県がんセンター(研究所)

研究代表者

若林 雄一  千葉県がんセンター(研究所), 発がん研究グループ 実験動物研究室, 室長 (40303119)

研究分担者 磯貝 恵理子  千葉県がんセンター(研究所), 発がん研究グループ 実験動物研究室, 上席研究員 (40300917)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードMeis1 / SU11274 / DMBA / TPA / 扁平上皮がん / Hif1α / p16 / p19
研究実績の概要

昨年度はMeis1遺伝子のノックダウン細胞を用いた機能解析に進展が見られた。Meis1はHox9と共発現することにより白血病を協調的に誘導することが知られている。また、c-MetインヒビターであるSU11274がMeis1/Hox9で誘導した白血病細胞に対して増殖抑制効果を示すことも知られていることから、我々はSU11274がMeis1を標的として皮膚腫瘍細胞に対しても同様の増殖抑制効果を示すのではないかと着想し、マウス皮膚扁平上皮がん細胞であるB9とD3をSU11274により処理した。その結果、1uMの低濃度ではほとんど効果を示さなかったものの、10uMの濃度では有意な増殖抑制効果を示した。そこで、2種類のMeis1に対するshRNAを作製し、Meis1ノックダウン細胞株をB9、D3の2種類の細胞を用いて作製した。それらの細胞株をSU11274により処理を行った。その結果、すべてのノックダウン細胞株において、SU11274の増殖抑制効果は見られなくなった。すなわち、SU11274がMeis1を直接的、または間接的にMeis1を標的として皮膚腫瘍細胞に対しても増殖抑制効果を示すことが示された。また、Meis1は転写因子としてHif1α、p16、p19の発現を制御することが既に示されているが、それらのMeis1の下流の遺伝子の発現についても、ノックダウン細胞株を用いて調べた。その結果、Hif1αに関しては、Meis1ノックダウン細胞株では発現が低下し、これをSU11274で処理しても発現が上昇することはなかった。しかし、p16、p19に関してはMeis1ノックダウン細胞株では発現の低下が見られたが、これをSU11274で処理することで発現の再上昇が見られた。すなわち、p16とp19はMeis1を介さない経路からもc-Metにより発現が制御されていることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究実績の概要に記載したように、Meis1のノックダウン細胞株を用いた実験が順調に進行した。

今後の研究の推進方策

昨年度、主に行ったChipsequencingデータの解析を継続して行っているが、これもノックダウン細胞株を用いたレスキュー実験等により、検証していく計画である。

次年度使用額が生じた理由

27年度にChipsequencingデータの解析に多くの時間を割き、試薬類は手持ちの試薬でまかない、28年度に繰り越した研究費がほぼ、そのまま29年度使用額となっているため。

次年度使用額の使用計画

Meis1ノックダウン細胞を使った実験に必要な細胞培養試薬や分子細胞試薬類の購入に使用する予定である。

  • 研究成果

    (15件)

すべて 2017 2016 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 10件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Meis1 is required for c-Met inhibition to suppress cell proliferation of skin squamous cell carcinoma cells.2016

    • 著者名/発表者名
      M.Saito, K.Okumura, Y.Yoshizawa, H.Munakata, E.Isogai, Y.Wakabayashi
    • 雑誌名

      J Biosci Med.

      巻: 4 ページ: 53-65

    • DOI

      10.4236/jbm.2016.47007

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] ヒストンシャペロンHIRAによるストレス応答とがん悪性化の制御2017

    • 著者名/発表者名
      長垣良和、奥村和弘、小櫻祐司、高野洋志、中戸隆一郎、白髭克彦、八尾良司、若林雄一、石川冬木
    • 学会等名
      平成28年度先端モデル動物支援プラットフォーム成果発表会
    • 発表場所
      琵琶湖ホテル
    • 年月日
      2017-02-06 – 2017-02-07
  • [学会発表] 副甲状腺ホルモンPthはマウス皮膚腫瘍形成を抑制する2017

    • 著者名/発表者名
      奥村和弘、斎藤慈、吉澤康博、宗形春花、磯貝恵理子、三浦 郁夫、若菜茂晴、島貫碧、設楽浩志、多屋長治、木南凌、若林雄一
    • 学会等名
      平成28年度先端モデル動物支援プラットフォーム成果発表会
    • 発表場所
      琵琶湖ホテル
    • 年月日
      2017-02-06 – 2017-02-07
  • [学会発表] 神経芽腫関連遺伝子Lmo3とHen2は、協調的に機能してマウスにおける水頭症の発症に関与している2016

    • 著者名/発表者名
      磯貝恵理子、奥村和弘、斎藤慈、吉澤康博、宗形春花、伊藤恭子、丹藤創、大平美紀、原口清輝、中川原章、伏木信次、永瀬浩喜、若林雄一
    • 学会等名
      第39回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      2016-11-30 – 2016-12-02
    • 国際学会
  • [学会発表] マウス扁平上皮がん由来細胞を用いたc-Met阻害におけるMeis1の機能解析2016

    • 著者名/発表者名
      斎藤慈、奥村和弘、吉澤康博、宗形春花、磯貝恵理子、若林雄一
    • 学会等名
      第39回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      2016-11-30 – 2016-12-02
    • 国際学会
  • [学会発表] 多段階皮膚発がん実験を用いたマウスがん抵抗性遺伝子座 Stmm1aの遺伝学的解析2016

    • 著者名/発表者名
      奥村和弘、吉澤康博、斎藤慈、、宗形春花、磯貝恵理子、三浦 郁夫、若菜茂晴、木南 凌、若林雄一
    • 学会等名
      第39回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      2016-11-30 – 2016-12-02
    • 国際学会
  • [学会発表] 皮膚悪性腫瘍においてMeis1が制御する下流因子の探索2016

    • 著者名/発表者名
      吉澤康博、奥村和弘、斎藤慈、宗形春花、青戸良賢、磯貝恵理子、榊原康文、若林雄一
    • 学会等名
      第39回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      2016-11-30 – 2016-12-02
    • 国際学会
  • [学会発表] ChIP sequencingにより示唆されたMeis1の皮膚腫瘍におけるグルコース代謝の制御2016

    • 著者名/発表者名
      吉澤康博、奥村和弘、斎藤慈、宗形春花、青戸良賢、磯貝恵理子、榊原康文、若林雄一
    • 学会等名
      第75回日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      2016-10-06 – 2016-10-08
    • 国際学会
  • [学会発表] マウス4番染色体上に存在する腫瘍悪性化を制御する原因遺伝子の探索2016

    • 著者名/発表者名
      斎藤慈、奥村和弘、吉澤康博、宗形春花、磯貝恵理子、若林雄一
    • 学会等名
      第75回日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      2016-10-06 – 2016-10-08
    • 国際学会
  • [学会発表] Stmm1の遺伝的解析と候補遺伝子の探索2016

    • 著者名/発表者名
      奥村和弘、斎藤慈、、吉澤康博、宗形春花、磯貝恵理子、木南凌、若林雄一
    • 学会等名
      第75回日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      2016-10-06 – 2016-10-08
    • 国際学会
  • [学会発表] 副甲状腺ホルモンPthはマウス皮膚腫瘍形成を抑制する2016

    • 著者名/発表者名
      奥村和弘、斎藤慈、吉澤康博、宗形春花、磯貝恵理子、三浦郁夫、若菜茂晴、島貫碧、設楽浩志、多屋長治、木南凌、若林雄一
    • 学会等名
      第31回発癌病理研究会
    • 発表場所
      信州松代ロイヤルホテル
    • 年月日
      2016-08-23 – 2016-08-25
  • [学会発表] マウス4番染色体上に存在する腫瘍悪性化を制御する原因遺伝子の探索2016

    • 著者名/発表者名
      斎藤慈、奥村和弘、吉澤康博、宗形春花、磯貝恵理子、若林雄一
    • 学会等名
      第63回日本実験動物学会総会
    • 発表場所
      ミューザ川崎シンフォニーホール
    • 年月日
      2016-05-18 – 2016-05-20
    • 国際学会
  • [学会発表] ChIP sequencingをもちいた皮膚腫瘍におけるMeis1の機能解析2016

    • 著者名/発表者名
      吉澤康博、奥村和弘、斎藤慈、宗形春花、青戸良賢、磯貝恵理子、榊原康文、若林雄一
    • 学会等名
      第63回日本実験動物学会総会
    • 発表場所
      ミューザ川崎シンフォニーホール
    • 年月日
      2016-05-18 – 2016-05-20
    • 国際学会
  • [学会発表] コンジェニックマッピングおよび遺伝子発現解析による皮膚がん抵抗性遺伝子座Stmm1aの原因遺伝子探索2016

    • 著者名/発表者名
      奥村和弘、斎藤慈、吉澤康博、宗形春花、磯貝恵理子、三浦 郁夫、若菜茂晴、木南凌、若林雄一
    • 学会等名
      第63回日本実験動物学会総会
    • 発表場所
      ミューザ川崎シンフォニーホール
    • 年月日
      2016-05-18 – 2016-05-20
    • 国際学会
  • [備考] 千葉県がんセンター研究所実験動物研究室

    • URL

      http://www.pref.chiba.lg.jp/gan/kenkyujo/soshiki/jikkendobutsu/index.html

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公開日: 2018-01-16  

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