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2017 年度 実施状況報告書

赤芽球感染をめぐる宿主マラリア原虫相互関係の解明

研究課題

研究課題/領域番号 15K08441
研究機関国立感染症研究所

研究代表者

久枝 一  国立感染症研究所, 寄生動物部, 部長 (50243689)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2019-03-31
キーワードマラリア / CD8T細胞 / ワクチンモデル開発 / ウガンダ
研究実績の概要

マラリアは今もなお全世界で猛威を奮う感染症であり、マラリア対策としてマラリアに対するワクチン開発が望まれているが、防御免疫の理解が不十分なこともあり、ワクチン開発は困難を極めている。申請者らはこれまでに、CD8T細胞が赤血球ステージのマラリアに防御的に働くことを世界に先駆けて報告してきた。本研究では、申請者らが見いだした「CD8T細胞の赤内型マラリアに対する防御」を応用すべく、マウスマラリアを用いて、CD8T細胞を活性化しうるワクチンモデルの開発を試みた。一方で、マラリアに対する防御免疫のより深い理解のために、マウスのマラリアモデルを用いてがヒトでも見られるかを検証した。
CD8T細胞を活性化すると想定されるDNAワクチン戦略を用い、マラリアワクチン抗原としてMSP1をさらにアジュバントとしてOX-40をコードする遺伝子を発現プラスミドに組み込んだ。ワクチンデリバリーにはリポソームを用いた。DNAワクチンを3度マウスに接種し、ネズミマラリア原虫Plasmodium yoelii 17XL, P.berghei ANKA を感染させた。いずれの感染にも防御的効果を発揮することはなく、脳マラリアのモデルであるP. berghei ANKA感染ではワクチン群でむしろ発症が速く起こることが分かった。以上の結果は、CD8が発症に重要である脳マラリアの発症を早めたことからCD8の活性化は起こっていると思われるが、防御効果を付与することはできないことを示す。ウガンダで採取したマラリア患者の血清中の免疫関連のタンパク質を網羅的に解析した。CD8T細胞関連の分子である、GranzymeB、FasLなどがマラリア患者で増加していることが分かった。しかしながら、重症患者と軽症患者で差が見られないことから病態への関与は不明である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

CD8T細胞の防御メカニズムの全貌は解明でき、応用であるワクチン開発、さらにはヒトでの検証と当初の予定通り遂行できている。

今後の研究の推進方策

ワクチンモデルの開発にはさらに工夫が必要であり、各種モデルで検討する。ヒト検体の解析についても、多数のサンプルを用いてさらに詳細にかつ網羅的に解析の幅を広げる。

次年度使用額が生じた理由

研究代表者の異動があり、予定通りの研究の遂行が困難になったため、研究にかかる費用に余剰ができた。翌年度には計画した研究を行う予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2018 2017 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 産業財産権 (1件)

  • [国際共同研究] グル大学/ラチョー病院(ウガンダ)

    • 国名
      ウガンダ
    • 外国機関名
      グル大学/ラチョー病院
  • [雑誌論文] Intestinal Inflammation-Mediated Clearance of Amebic Parasites Is Dependent on IFN-γ2018

    • 著者名/発表者名
      Shimokawa C, Senba M, Kobayashi S, Kikuchi M, Obi S, Olia A, Hamano S, Hisaeda H
    • 雑誌名

      Journal of Immunology

      巻: 200 ページ: 1101-1109

    • DOI

      10.4049/jimmunol.1700806

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Mast Cells Are Crucial for Induction of Group 2 Innate Lymphoid Cells and Clearance of Helminth Infections.2017

    • 著者名/発表者名
      Shimokawa C, Kanaya T, Hachisuka M, Ishiwata K, Hisaeda H, Kurashima Y, Kiyono H, Yoshimoto T, Kaisho T, Ohno H.
    • 雑誌名

      Immunity

      巻: 46 ページ: 863-874

    • DOI

      10.1016/j.immuni.2017.04.017

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A possible origin population of pathogenic intestinal nematodes, Strongyloides stercoralis, unveiled by molecular phylogeny2017

    • 著者名/発表者名
      Nagayasu E, Aung MPPTHH, Hortiwakul T, Hino A, Tanaka T, Higashiarakawa M, Olia A, Taniguchi T, Win SMT, Ohashi I, Odongo-Aginya EI, Aye KM, Mon M, Win KK, Ota K, Torisu Y, Panthuwong S, Kimura E, Palacpac NMQ, Kikuchi T, Hirata T, Torisu S, Hisaeda H, Horii T, Fujita J, Htike WW, Maruyama H
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 7 ページ: 4844

    • DOI

      10.1038/s41598-017-05049-x

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [産業財産権] 制御性T細胞増強剤並びにそれを含む医薬及び食品組成物2017

    • 発明者名
      久枝一、下川周子、和泉孝志、大嶋紀安、大野博司、加藤完
    • 権利者名
      久枝一、下川周子、和泉孝志、大嶋紀安、大野博司、加藤完
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特願2017-94949

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公開日: 2018-12-17  

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