遺伝子中の介在配列であるイントロンを取り除くRNAスプライシングの過程は、遺伝子から機能する分子を生み出すのに必須の過程である。アミノ酸をタンパク質合成の場であるリボソームに運ぶ転移RNA(transfer RNA, tRNA)にはその遺伝子にイントロンを持つものがある。真核生物のtRNA前駆体のスプライシングに関わる酵素は、ごく一部の生物種でのみ解析されており、その全貌は明らかでない。私は寄生性真核生物であるトリパノソーマ類に注目し、そのRNA連結酵素の解析を行った。その結果、トリパノソーマ類の持つRNA連結酵素は細菌から遺伝子の水平伝播によって獲得されたものであることが明らかになった。
|