研究課題/領域番号 |
15K08443
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
橘 真由美 愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 助教 (00301325)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | マラリア原虫 / 雄性生殖母体 / ミクロガメート / 鞭毛放出 / プロテアーゼ |
研究実績の概要 |
宿主内で形成された雌雄のマラリア原虫生殖母体は、吸血により蚊に摂取されると、雄は運動性を持った鞭毛(ミクロガメート)を赤血球から放出し、生殖体に分化した雌と受精する。極めて短時間に行われる形質転換及び有性生殖に伴う分子メカニズムについてはほとんど明らかになっていない。申請者はこれまでに、ネズミマラリア(P.yoelii 17X)を用いた研究により、雄の生殖母体から生殖体で発現する新規分子PyGM75を同定し、この分子が、鞭毛放出に関与することを明らかにした。本研究では、PyGM75のアミノ酸配列に変異を入れた遺伝子改変原虫を作出し、その表現型にどのような変化をもたらすかを解析することで、この分子の鞭毛放出に関わる詳細な役割を解き明かすことを目的とした。 当該年度は、まず、PyGM75がアスパラギン酸プロテアーゼ様ドメインを有することに着目し、この予測活性部位に変異を入れた遺伝子組換え原虫の作製を実施した。P. yoeliiのcDNAを用いてPyGM75の一部を増幅し、クローニングを行った後、予測活性部位であるアスパラギン酸をアラニンに置換するような塩基の変異導入を行った。薬剤耐性遺伝子配列を持つコンストラクトにこの配列を挿入し、電気穿孔法を用いてマラリア原虫に導入した後、ピリメサミン投与により薬剤耐性を獲得した原虫を選択することで組換え原虫の作出に成功した。次に、先行研究において得られた、PyGM75C-myc原虫の鞭毛放出能が著しく低下するという所見に着目し、PyGM75のC末膜貫通領域を欠損した原虫の作製も実施した。PCRで増幅したPyGM75C末膜貫通領域を除いた配列を先述のコンストラクトに挿入し、同様の方法で組換え原虫の作出に成功した。次年度はこれらの表現型解析を行うとともに、PyGM75の組換えタンパク質を用いて、プロテアーゼ活性の検出にも着手する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに、PyGM75のアミノ酸に変異を導入した2種の組換え原虫の作製に成功した。現在その表現型解析を始めており、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に作製した組換え原虫を作出するのに用いたコンストラクトを基盤にして、システインをアラニンに置換した組換え原虫の作製を順次行う。また、作製した遺伝子組換え原虫を用いて、引き続き表現型解析を行う。組換え原虫の生殖母体、および、生殖体を回収し、電子顕微鏡用サンプルを調製し、形態(鞭毛の形成の有無、細胞小器官の形成の有無など)を詳細に観察する。組換え原虫の鞭毛放出能に変化があるかどうかを確認するために、原虫の鞭毛放出を促進させる培養条件下にし、運動性を持った原虫を経時的に計測する。さらに、プロテアーゼ活性を確認するために組換えタンパク質を作製し、プロテアーゼ活性を有するかどうかを蛍光ペプチド基質を用いて確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は、遺伝子組換え操作の作業が主であったため、既に保有している試薬等を用いることで使用額を節約することが可能であった。
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次年度使用額の使用計画 |
未完成の組換え原虫を作製するために遺伝子関連試薬、プラスチック器具等の消耗品、および組換えタンパク質合成用試薬の購入、作出した組換え原虫の解析に必要なマウスなどの購入に使用する予定である。また、研究成果を発表するために学会への参加費、及び旅費に使用する予定である。
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