研究課題
本研究の目的は、東南アジアに生息するマカク属サルを自然宿主とするサルマラリア原虫Plasmodium knowlesiがヒトにも自然感染し重篤化して死亡する例が同範囲内で報告されていることから、P. knowlesiが感染したヒト赤血球の微細構造とヒト血管内皮細胞に対する感染赤血球の接着能の有無を明らかにすることである。昨年度までに、サル赤血球に感染したP. knowlesi原虫クローンのヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)に対する結合アッセイを繰り返し行い、結合アッセイ6,7回目で約1,100感染赤血球/100 HUVECsという高い接着反応が認められ、接着性原虫クローンを選択することができた。しかし今年度に入り、その接着性原虫クローンを凍結保存後に再び解凍して培養したところHUVECに対する接着反応の再現が得られなかったため、今度はP. knowlesi原虫集団を対象としてHUVECに対する結合アッセイを再度繰り返し行い、新たに高い接着反応を示す原虫集団を選択することができた。そこで、結合アッセイ前の非接着原虫集団と結合アッセイ後の接着性原虫集団について遺伝子発現を比較し接着に関与する可能性のある原虫分子を同定するため、それぞれの原虫集団を同調した後大量培養し、各発育ステージにおいて細胞を回収しRNAを精製した。そしてmRNAを取得後ライブラリを精製し、RNA-seqによる解析を行った。その結果、非接着性の原虫集団と比較して接着性原虫集団において約200-500倍に転写量が増えているSICAvar遺伝子断片を同定することができた。
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