研究課題/領域番号 |
15K08445
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
菊池 三穂子 長崎大学, 熱帯医学研究所, 講師 (40336186)
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研究分担者 |
濱野 真二郎 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (70294915)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 住血吸虫症 / 肝線維化症 / miRNA / バイオマーカー / 動物モデル |
研究実績の概要 |
日本住血吸虫、メコン住血吸虫、マンソン住血吸虫はヒトの門脈、腸間膜静脈系寄生性の住血吸虫である。この3種類の住血吸虫感染による肝線維化の病態には、大きな違いが認められ病害性も異なるがその本態は明らかとなっていない。マウスモデルによる3種類の住血吸虫の感染時に起こる病態解析を、血清中の小胞体のmicroRNAの発現プロファイリングに着目して比較解析を行い、異なる病態の解明を試みると共に、病態変化を検出するバイオマーカーとしての可能性をさぐる。マンソン住血吸虫、日本住血吸虫、メコン住血吸虫感染マウスの急性期及び慢性期の血漿中エキソソームのmiRNAを抽出し、リアルタイム定量解析しプロファイルを作成し、マウスとヒトで機能的に相動性の高いmiRNA群、慢性期に特異的に発現する群、3種で共通、種特異的発現する群に分け、データベース(The miRBase, The human microRNA disease database)などによってin silico機能解析を行い、肝細胞障害性、肝線維化症に関わる機能を持つと考えられたmiRNAに対して、 in vivoでの阻害実験や発現増強することにより肝線維化症への関与を証明し、miRNAの機能に直接に関わる生理活性物質の同定、あるいは免疫応答性へフィードバックし病態形成の解明を試みる。また、マウスモデルで同定されたmiRNAは日本住血吸虫性肝線維化症の患者血漿を用いて、その発現動態と病態形成との関連を解析する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マウス(C57BL/6, BALB/c)にマンソン住血吸虫、日本住血吸虫を感染させ、2か月後(急性期)に血清を採取した。この血清からmiRNAを抽出し、血清miRNAパネルを用いて発現プロファイルを作成した。この結果、日本住血吸虫感染マウスでは、miR-122, miR-21 などの miRNAが上昇することがわかった。これらのmiRNA はサイトカインの1種であるIL-13の発現に関わるとされており、これまでにも報告のある肝線維化症の重症化因子としてIL-13が関与する事が改めて示された結果となった。メコン住血吸虫に関しては、感染がうまく行かなかった為にまだ、試料が得られていないため来年度に持ち越すことになった。 マンソン住血吸虫では、比較的肝線維化の症状が弱かったためか、特徴的な発現上昇を認めたmiRNAがなかった。再度、実験を繰り返す必要があると思われた。 日本住血吸虫とマンソン住血吸虫では、ヒトと同様にマウスでも肝線維化の病態に大きな差があることが明らかであった。
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今後の研究の推進方策 |
肝線維化症患者血漿中のmiRNAをヒト1038種類のmature miRNAを定量PCR法により発現プロファイルを作成する。マウスと同様に、各群別に比較解析し、機能が報告されているものがあれば関わる生理活性物質を保存してある血漿サンプルを用いて測定し確認する。機能が報告されていない物については、マウスとヒトで相同性の高いmiRNAに限定し、in vivoでの阻害実験や発現増強することにより肝線維化症への関与を証明し肝線維化症の病態形成に寄与するmiRNAの機能解析を行う。住血吸虫肝線維化症患者血清サンプルで発現動態と病態形成との関連が示唆されたmiRNAについてその肝線維化症を検出するバイオマーカーとしての実用性について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
試薬の購入を計画していたが、当該年度中の納品が間に合わなくなったため、残金が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
速やかに、解析用のmiRNAプライマーセットを購入する予定。
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