研究課題
エキノコックスは北半球の広い範囲に分布する寄生虫で、人獣に多大な健康被害をもたらしている。エキノコックスが属する条虫類は消化管を持たず、虫体の表面全体から生存に必要な栄養素を摂取することが知られている。本研究では、エキノコックスによる体表面からのグルコース摂取の仕組みに着目し、その分子機構の解明に取り組んできた。これまでに、グルコース輸送を担うと予測される3種類のトランスポーター遺伝子の全長配列を取得し、うち2種類の受動輸送型トランスポーターについて、基質輸送能の特性を明らかにすることができた。また、エキノコックスのグルコーストランスポーター遺伝子の情報をもとにデータベース上の配列を検索した結果、近縁の寄生虫類がエキノコックスのものと比較的相同性の高いトランスポーター遺伝子を有していることが明らかとなった。以上の研究成果は、国際学術誌に公表した(Kashiide et al., 2018. Mol. Biochem. Parasitol., 225: 7-14)。これまでに得られたトランスポーターの配列に基づき、予測される消化酵素ペプチド配列をもとに安定同位体標識ペプチドを作成し、質量分析法を用いた膜タンパク質定量系をすでに確立した。今年度は、幼虫および成虫の虫体材料を用いて測定を実施し、発現量をタンパク質レベルで比較する予定であったが、実験の進行が遅れており、測定を実施することができなかった。研究分担者および研究協力者との共同研究を今後も継続し、期間内に実施できなかった解析を終了させたい。
松本 淳 (2019)人体エキノコックス症に対する治療薬開発研究の現状と展望. 病原微生物検出情報, 40(3): 7-8.
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Journal of the American Veterinary Medical Association
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Molecular and Biochemical Parasitology
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Parasitology International
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