研究課題/領域番号 |
15K08466
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
後藤 正道 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (80325779)
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研究分担者 |
鈴木 幸一 帝京大学, 医療技術学部, 教授 (20206478)
圓 純一郎 国際医療福祉大学, 成田保健医療学部, 講師 (30587879)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 抗酸菌感染症 / 末梢神経障害 / アポトーシス / マイコラクトン |
研究実績の概要 |
ブルーリ潰瘍(Buruli ulcer)は我が国でも報告が増加している抗酸菌Mycobacterium ulcerans感染症であり、深い無痛性の皮膚潰瘍が形成される。ブルーリ潰瘍では末梢神経病変が起きること、菌由来の毒性脂質mycolactoneの投与で同様の末梢神経障害が起きることを我々は見出した。本研究ではこれらの研究を発展させ、培養シュワン細胞へのmycolactone投与による細胞障害とその成立機序を検索することにより、ブルーリ潰瘍における無痛性病変成立のメカニズムを明らかにし、神経障害機構を解明することでブルーリ潰瘍の病態の解明と治療への展望が明らかになる。また、ブルーリ潰瘍における無痛性の解明をはかることにより、末梢神経における痛覚の生理的機序を解明していくことにもつながる。 Mycobacterium ulceransから産生される毒性の脂質mycolactoneは、局所神経組織への細胞の直接的な損傷(細胞毒性)または非毒性の麻痺機構のいずれかにより、病変の感覚系をブロックすると考えられていた。末梢神経において、シュワン細胞は軸索に栄養を与え、神経伝導を促進する。この研究では、培養したシュワン細胞へのmycolactoneの作用と線維芽細胞へのMycolactoneの細胞毒性を比較し、シュワン細胞株SW10においてmycolactoneA/Bが線維芽細胞株L929よりも高い細胞死およびアポトーシスを誘導することを見出した。これらの結果は、無痛性の原因が細胞傷害性にあることを証明しており、mycolactoneがBuruli潰瘍の神経損傷の生成における重要な物質であることを示唆している。
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