本研究ではインターフェロンγが誘導するマクロファージにおける細胞内寄生菌に対する選択的オートファジーの活性化メカニズムの解明を目的とする。 オートファジーはリソソームを分解の場とする細胞内分解システムであり、細胞内タンパク質や小器官がそのターゲットとなる。また、オートファジーは、細菌感染時には細胞内に侵入した細菌を認識・分解するため、感染症学・免疫学においても注目されている。飢餓などのストレスで誘導されるオートファジーや、誘導刺激が無い通常状態で起きる基底レベルのオートファジーは特異性を持たず細胞質成分を無差別に分解する。一方、損傷したミトコンドリアや細胞内に侵入した病原体を排除するために形成されるオートファゴソームは特異性を持った選択的なオートファジーであり、ミトコンドリアに対するものはマイトファジー、病原体に対するものはゼノファジーと呼ばれる。日本の研究者を中心としたこれまでの研究によりオートファジーの基本的な分子メカニズムや生理機能が明らかにされているが、選択的オートファジーにおける標的認識メカニズムには不明な点が多く残されている。 マクロファージに代表される食細胞は自然免疫の一端を担う細胞であり、外来の病原体を取りこみ、細胞内で殺菌・分解を行う。種々の細胞から分泌されるサイトカインのうち特にインターフェロンγが強力にマクロファージを活性化し、IFN-γ活性化マクロファージは捕食した病原体に対する殺菌作用や、腫瘍細胞に対する破壊作用が強化される。インターフェロンγによるマクロファージ活性化は自然免疫において重要なステップである。 これまでに、当研究グループでは、インターフェロンγ刺激マクロファージ内で細菌に対するゼノファジーが活性化することを示唆する研究結果を得ている。そこで本研究ではインターフェロンγによるゼノファジー活性化の分子メカニズムの解明を目的とした。
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