研究課題
本年度は、ボツリヌスD型菌由来NTNHAの細胞内輸送に関わる細胞内小器官を明らかにするため、細胞内に侵入したNTNHAと細胞内のRabタンパク質の局在性を明らかにした。大腸菌によって産生された組換え体D型NTNHA(rNTNHA/D)を4℃にて、ラット腸管株化細胞IEC-6に添加し、30分間インキュベートした後、37℃で5~10分間さらにインキュベートした。その結果、rNTNHA/Dは細胞内に侵入した。一方、細胞内のRabタンパク質のうち5種類(Rab4、5、7、9および11)について着目し、それぞれの抗体を用いた蛍光免疫染色によって検出した。その結果、いずれのRabタンパク質もNTNHAの侵入によって増加していることが明らかとなった。さらに、rNTNHA/D抗体とRab抗体を用いた二重蛍光免疫染色によるそれぞれのタンパク質の検出を行ったところ、いずれのRabタンパク質も細胞内に侵入したrNTNHA/Dと共局在していることが示された。本研究で着目したRabのうち、Rab4は細胞膜上の各種受容体のリサイクリングに、Rab5は初期エンドソームの形成、Rab7および9は後期エンドソームからゴルジ体への輸送、Rab11は、リサイクリングエンドソームから細胞膜への輸送に関与していることが示されている。すなわち、本研究の結果から、NTNHAが、細胞膜上の受容体がリサイクルされる際に同時に細胞内に侵入し、初期エンドソーム、後期エンドソームを経て、ゴルジ体へと侵入し、再びリサイクリング経路を経て細胞外に排出される細胞内輸送モデルが示された。
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