研究実績の概要 |
研究の成果1)Stx1a Bサブユニットのサイト2を標的とするFRA-tet以外の10種の阻害ペプチドのうち、少なくともKGA-tet, YTA-tet, PQA-tetが、MMA-tetとの組み合わせにより、相乗的なStx1毒性阻害効果を示した。ベロ細胞に、低濃度のMMA-tet(10μg/ml)あるいは各サイト2阻害ペプチド(30μg/ml)を単独で処理すると、最大10%程度のStx1毒性阻害能を示した。そこで次に同濃度のMMA-tetと各サイト2阻害ペプチドを同時に添加したところ、KGA-tet, YTA-tete, PQA-tetは15-20%程度の阻害能を示した。 研究の成果2)ベロ細胞を用いて、MMA-tetとFRA-tet(最終濃度各50μg/ml)を組み合わせた場合の各種細胞内シグナル伝達分子の影響を検討したところ、MMA-tet, FRA-tetを単独で作用させた場合には、いずれのペプチドもStx1aによるERKの活性化を阻害するが、JNK, p38, Aktの活性化は阻害しないことが明らかとなった。また、MMA-tetとFRA-tetを組み合わせた場合には、Stx1aによるERKの活性化を阻害するが、この効果はペプチドを単独で作用させた場合と比べて同程度であることがわかった。一方、JNK, p38, Aktの活性化には影響をおよぼさないことも明らかとなった。これらのことから、MMA-tetとFRA-tetを組み合わせて投与した場合にみられるStx1aの細胞内輸送遅延は、ERK活性化抑制のみでは不十分であり、JNK, p38, Aktの活性化抑制は関与していないことが示された。
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