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2016 年度 実施状況報告書

志賀毒素の細胞内輸送を標的とした新規腸管出血性大腸菌感染症治療薬の創出

研究課題

研究課題/領域番号 15K08480
研究機関同志社大学

研究代表者

高橋 美帆  同志社大学, 生命医科学部, 助教 (00446569)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードキナーゼ基質アレイ
研究実績の概要

結果1)
昨年度、FRA-tet以外のサイト2阻害ペプチドKGA-tet, YTA-tetが、MMA-tetとの組み合わせにより相乗的なStx1a毒性阻害効果を示すことを明らかにしたことから、KGA-tetあるいはYTA-tetをMMA-tetと同時投与した際のStx1a細胞内輸送に及ぼす影響を検討した。その結果、いずれのペプチドにおいても、MMA-tet単独投与時と比べてStx1aの細胞内輸送に大きな変化は見られなかった。
結果2)
Stx1a+FRA-tet+MMA-tetをベロ細胞に添加した場合、アクチンフィラメントの細胞膜への局在が増加していること、アクチンフィラメントと細胞膜を架橋するタンパク質ezrinの細胞膜への局在が増加していることが明らかとなった。
結果3)
Stx刺激時に活性化されるシグナル伝達分子の網羅的解析を行うため、キナーゼ基質アレイを用いた系の確立を試みた。Intavis社のスライドスポッターを用いて、セリンスレオニンキナーゼの基質ペプチド384種類をスポットしたスライドグラスを新たに作成した。Stx1a刺激した細胞の溶解液とγP32-ATPをスライドグラスに添加し1時間反応後、リン酸化された基質を検出した。その結果、ERK, p38等のMAPキナーゼ、GSK-3beta、Gタンパク質共役型受容体キナーゼ等が活性化されていることが示された。現在、反応時間等の詳細な条件検討をおこなっている。また、Tyrキナーゼ基質アレイを作成し、同様の実験を検討中である。本系が確立され次第、MMA-tetあるいはMMA-tetとFRA-tet存在下Stx1aを添加した場合の各種キナーゼの活性化状態を検討する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

実施計画1)YTA-tet、KGA-tetについて、MMA-tetを組み合わせたときのStx1a細胞内輸送の解析に時間を要した。YTA-tetあるいはKGA-tet+MMA-tet存在下Stx1aの細胞内局在性を共焦点顕微鏡で観察したところ、MMA-tet単独の場合と比べてStx1aの輸送に大きな変化がみられなかったことから、以降の詳細な検討は現在行っていない。MMA-tetとFRA-tetを組み合わせた場合のStx1a細胞内輸送について、当初計画の各種オルガネラマーカーとの局在性が一部未完了である。(当初計画の70%完了)
実施計画2)今回キナーゼ基質アレイを作成し、Stx1a刺激により活性化されるセリンスレオニンキナーゼあるいはチロシンキナーゼの網羅的解析を試み、系の確立に時間を要した。(当初計画の50%完了)
実施計画3)については、当初計画ではスライドグラスを用いスクリーニングを実施することとなっていたが、系の確立に時間を要している。(当初計画の30%完了)

今後の研究の推進方策

1)MMA-tet+FRA-tet存在下Stx1aの細胞内輸送の影響について、ライソゾーム経路、リサイクリング経路等解析を行う。
2)今回確立したキナーゼ基質アレイを用いた系により、MMA-tet+FRA-tet添加した場合の、Stx1aによるシグナル伝達分子活性化に対する影響を網羅的に解析する。
3)多価型ペプチドライブラリーとIntavis社のスライドスポッターを組み合わせたスクリーニング系の確立と並行して、従来のセルロースシート上に多価型ペプチドライブラリーをスポット合成する系を用いたスクリーニングも行い、最終的に従来の阻害ペプチドよりも結合特異性と親和性の優れた候補阻害薬群を取得する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] Affinity-based screening of tetravalent peptides identifies subtype-selective neutralizers of Shiga toxin 2d, a highly virulent subtype, by targeting a unique amino acids involved in its receptor recognition.2016

    • 著者名/発表者名
      Mitsui T., Watanabe-Takahashi M., Shimizu E., Zhang B., Funamoto S., Yamasaki S., Nishikawa K.
    • 雑誌名

      Infection and Immunity

      巻: 84 ページ: 2653-2661

    • DOI

      0.1128/IAI.00149-16. Print 2016 Sep.

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [産業財産権] ヘマグルチニン結合ペプチド、および、これを含むインフルエンザウイルス感染症の予防・治療薬2016

    • 発明者名
      西川喜代孝、高橋美帆、近江純平、他4名
    • 権利者名
      学校法人同志社
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特顔2016-164971
    • 出願年月日
      2016-08-25

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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