研究課題/領域番号 |
15K08485
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
高橋 英之 国立感染症研究所, 細菌第一部, 主任研究官 (60321866)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 髄膜炎菌 / ヒト脳血管内皮細胞 / 感染 / アミノ酸 |
研究実績の概要 |
髄膜炎菌の臨床分離株のライブラリーの中で、患者由来株20株及び健常者由来株20株を抽出し、ヒト脳血管内皮細胞(HBMEC)への接着能及び侵入能の感染能の検証をex vivoで行なった。その結果、概ね患者由来株で感染能が高く、健常者由来株で低いという結果が得られた。その外膜タンパク発現プロファイルを網羅的に比較するためにex vivoのHBMECへの感染能が高い株10株及び低い株10株をさらに選択し、それらの外膜タンパクを生化学的に抽出し、Tandem Mass Tag ラベリングを用いた網羅的発現プロファイルを比較した。その結果、ex vivoのHBMECへの感染能が高い株で発現量が多く、低い株では発現量が少ないと推測されるタンパクが9つ見出された。そのタンパク因子の髄膜炎菌への感染能との関連を検証するために、そのタンパクをコードする遺伝子をそれぞれ欠損した変異株を作成し、再度ex vivoのHBMECへの感染実験を実施した。その結果、cysteine transporter substrate-binding protein (ctp) を欠損した株が野生型に比べて著しくHBMECへの感染能が低下していることが明らかとなった。また、polar amino acid substrate-binding protein(patp)もctp欠損株ほどではないが野生型に比べてHBMECへの感染能が低下していることも明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
髄膜炎菌の臨床分離株を選別し、その感染能の検証とその外膜発現プロファイルを比較して、髄膜炎菌の感染能に関与する因子を同定するに至ったため。
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今後の研究の推進方策 |
cysteine transporter substrate-binding proteinが髄膜炎菌の感染能に関してどのような分子機序で作用しているのかを生化学的及び細胞生物学的に検証する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
Tandem Mass Tagラベリングによる解析費を計上していたが、共同研究者の理化学研究所の柳沢博士のご好意により理化学研究所側で負担して頂けたため。
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次年度使用額の使用計画 |
髄膜炎菌の感染能に関与する因子が同定でき、その分子作用機序を解析するための分子生物学的及び細胞生物学的試薬が必要となるため、その購入費に充てる予定である。
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