研究実績の概要 |
Borrelia miyamotoiの血清非感受性は,血清中の補体による殺菌機構に対する抵抗性に起因すると考えられている。この補体抵抗性を規定する遺伝子群の同定とその機序を明らかとするために、3年計画の1年目である平成27年度には、これを明らかにするための基盤実験系の確立ならびに形質転換可能でかつヒト血清感受性株の樹立を行った。2年目である平成28年度には、計画1年目に樹立されたヒト血清感受性でかつ形質転換可能なB. garinii HT59株を用い、大腸菌-ボレリアshuttle vector pBSV2を用いてヒト血清非感受性のB. miyamotoi MYK3株由来遺伝子を導入したボレリア株の作成を行った。3年目である平成29年度には、B. miyamotoi MYK3株由来遺伝子を導入したB. garinii HT59株の血清感受性を試験した。高~中程度の血清耐性をB.gariniiに付与した6遺伝子中、最も血清耐性度が上昇した2遺伝子A,Bは、40%ヒト血清存在下、24時間後における生存率において、親株ならびにMock controlに対しおよそ1000倍の生存率を示し、非働化血清中での生存率と比較し、有意の減少を示さなかった.これら2遺伝子はボレリア属細菌の血清耐性機能因子群と同様にP39抗原 super familyに属したが、既知の因子とは異なるlineageであった.また、本研究で見出された新規ボレリア因子は血清耐性に関与する他、フィブロネクチンなどの生体分子と結合することも明らかになった.
|