研究課題
本研究では、申請者が発見した感染性の高い多剤耐性結核菌株群(V02群)を変異解析して同菌株群に共通する遺伝子変異を検出し、他の臨床分離株と比較することにより、「結核菌感染性マーカー」として使用しうる遺伝子変異を特定することを目的とする。平成27年度は、V02群と比較する結核菌として、①大阪府内で分離された結核菌の約3%を占める最も大きな同一遺伝子型群から多剤耐性結核菌2株、感受性結核菌2株、②府内分離株の1.5%を占める2番目に大きな遺伝子型群から、多剤耐性結核菌株2株、感受性株2株、③V02 群以外で多剤耐性結核菌のみで形成される同一遺伝子型群3群のすべての株、④大規模集団感染の起因株であり同一遺伝子型の菌株に多剤耐性結核菌を含む遺伝子型群のうち多剤耐性結核菌2株、感受性結核菌2株、の計13株について、次世代シーケンサーでゲノム情報を取得し、解析をしているところである。
2: おおむね順調に進展している
申請者はこれまで大阪府内で分離された3000株以上の結核菌の遺伝子型別を実施しており、V02群株と比較すべき結核菌株候補を容易に準備できた。
平成27年度に取得した各結核菌同一遺伝子型群のゲノム情報とデータベース上にある結核菌標準菌株のゲノム情報を比較し、V02 群株と大規模集団発生起因結核菌株に共通、あるいは2群間で部位は異なるが同一遺伝子上存在する非同義かつ非保存的な変異を検索する。変異が見つかれば、それらを「感染性マーカー変異の候補」として、大規模集団感染原因株と単独遺伝子型株を対象として変異の有無について調査する。
ゲノム情報取得予算が予想より少なかったため。
V02群株とのゲノム比較株を増やし、そのゲノム情報取得に予算を使用する。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
PLoS One
巻: 10(11) ページ: e0141658
10.1371/journal.pone.0141658.
Infect Genet Evol.
巻: 35 ページ: 82-88
10.1016/j.meegid.2015.07.029.