研究課題/領域番号 |
15K08489
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研究機関 | 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所 |
研究代表者 |
田丸 亜貴 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 微生物部, 主幹研究員 (70270767)
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研究分担者 |
松本 壮吉 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30244073)
和田 崇之 長崎大学, 熱帯医学研究所, 准教授 (70332450)
金子 幸弘 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (90469958)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 結核菌 / 全ゲノム一塩基変異解析 / 結核菌遺伝子型別 |
研究実績の概要 |
本研究では、申請者が発見した感染性の高い多剤耐性結核菌株群(V02群)を全ゲノム一塩基変異解析し、V02群特異的遺伝子変異を検出し、そのうち「結核菌感染性マーカー」として使用しうる遺伝子変異を特定することを目的とする。 V02 群と非V02群結核菌の全ゲノムシーケンス比較の結果、pknI遺伝子変異が「結核菌感染性マーカー」である可能性が高いと考えられたので、2017年度は結核菌臨床分離150株について、ダイレクトシーケンスにてpknI遺伝子変異の有無を調べた。その結果、150株のうち、2株のpknI遺伝子にはV02群株と同じ一塩基変異(NP_217430.1:p.Leu156Met)があったが、他の128株には変異はみられなかった。pknI遺伝子に変異のあった2株のうち一株は、当所の結核菌遺伝子型データベースに記録した約4050株の中に同一VNTR遺伝子型がなかった。もう一株には同一VNTR遺伝子型株が1株あったが、同一人物由来であった。すなわちpknI遺伝子に変異のあった2株はいずれも直近の結核菌感染の広がりから発生した株ではなかった。今回pknI遺伝子変異の有無を調査した150株のVNTR遺伝子型別によるクラスター形成率は52.3%で、同一感染源からの集団感染株や、患者間の直接接触は不明であるが同一VNTR遺伝子型を示す菌株が含まれていた。このような株にはpknI遺伝子変異はみられなかったことから、pknI遺伝子変異はV02 特異的遺伝子変異ではあるが結核菌全体での感染性に関与する遺伝子変異ではないと考えられた。 V02群特異的遺伝子変異のある遺伝子のうち、発育等を抑制的に調節している遺伝子は他にもあるので、今後調査を継続し、V02群特異的遺伝子変異から「結核菌感染性マーカー」となる遺伝子変異を突き止める予定である。
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