研究課題
近年、長さ200塩基以上の長鎖型のノンコーディングRNAが様々な疾患に深く関わることが報告されている。本研究では、C型肝炎ウイルス感染における長鎖ノンコーディングRNAの役割を解析した。これまでの解析から、長鎖ノンコーディングの一つであるHULCに着目して解析を進めた。ヒト、チンパンジー、マウス、培養細胞を用いた解析から以下の事が明らかになった。1)HCVのヒト肝臓キメラマウス、チンパンジー、培養細胞への感染によりHULCの発現量が増加した。2)C型慢性肝疾患患者で、HCV駆除前後でのHULCの肝臓における発現量を比較したところ、HCVの駆除によりHULCの発現量は低下した。3)培養細胞においてHCV感染のHULCプロモーター活性に与える影響を解析したところ、HCV感染によりHULCのプロモーター活性が増加した。4)HCV感染細胞においてHULCの発現抑制をしたところ、HCV複製の抑制を認めた。5)HULCの発現抑制によりHCVの蛋白翻訳が抑制された。今回の研究により、HCV感染がin vivoおよびin vitroでHULCの発現レベルを増加させることを明らかにした。また、HCV感染培養細胞において、HULCの発現を低下させることによりHCVの複製が低下することも明らかにした。近年HULCは肝発癌や肝癌の進展に関与することが報告されている。したがって、HCV感染によってHULCの発現が誘導されることを示した今回の研究結果は、HCV感染による肝発癌や肝癌の進展機序の解明やHULCを標的とした新規の肝発癌予防法や肝癌治療法の開発へと発展することが期待される。
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