研究課題
前年度Protein-Protein interaction スクリーニング系の構築を行い、HCVコアタンパクと機能的に結合するPA28γの評価系を使っていくつかのHCV阻害剤候補を同定した。また、HCVコアによる膜蛋白質2ハイブリットで同定された膜内蛋白質分解酵素に対するプロテアーゼ阻害剤をスクリーニングし、抗HCV剤候補としてLY411575を同定し、ウイルス産生に阻害効果があることを明らかにした。LY411575はウイルスコア蛋白質の成熟を抑制し、コアの分解を促進することで、ウイルス粒子形成を阻害することが示唆された。レプリコン細胞系および培養細胞感染系に対して抗ウイルス効果を検討した結果、この化合物はウイルス複製に対して効果は低く、ウイルス粒子産生に抑制効果を示した。また、抗HBV複製阻害剤(NS5A阻害剤)Daclatasvirの複製阻害効果に対して相乗効果は認められず、ウイルス産生阻害効果に相乗効果があった。さらに、LY411575はウイルス感染による酸化ストレスを軽減し、がん化に関与する因子の産生増加を軽減した。以上のことから、抗ウイルス活性だけでなく、抗がん化作用も期待できることが分かった。さらにCDK阻害剤をHBV感染培養系でスクリーニングし、p-TEFb阻害剤に抗HBV活性があることを見いだした。HBV感染培養細胞系においてウイルスRNA、粒子内DNA、ウイルス感染粒子の産生を有意に阻害した。また、ウイルスを持続的に産生する細胞系でウイルス産生を有意に阻害した。さらに、ヒト肝臓キメラマウスにおいて、in vivoにおけるETVの抗ウイルス活性を増強した。この結果は新たな抗HBV剤開発への貢献に繋がると思われる。
2: おおむね順調に進展している
ほぼ順調に研究は進呈しており、現時点で問題はない。
研究計画に変更はなく、同定した抗ウイルス化合物および標的因子の解析を通じ、新規抗肝炎ウイルス剤開発に繋げる。
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