研究課題
前年度、C型肝炎ウイルス(HCV)コア蛋白質に対して結合する宿主蛋白質探索を目的に膜2ハイブリット法にて同定した膜内蛋白質酵素HM13に対する阻害剤LY411575に続き、HCVコア蛋白質に結合する宿主因子STAT3を標的にした化合物同定を目的に桂皮酸誘導体をスクリーニングし、二つの誘導体に有意な抗HCV活性を認めた。そのうちselectivity indexが高い誘導体の生物活性を解析した。ウイルス遺伝子型 1から4のレプリコン細胞に対する抗HCV活性(EC50)は1.5から7.1μMを示し、インターフェロン活性を介さずにウイルス蛋白質量ならびにウイルス粒子産生量も有意に低下した。その化学構造から、AG490(JAK2阻害剤)と似ていることからSTAT3のTyr705のリン酸化への関与が示唆されたが、抗HCV活性を示す濃度ではSTAT3Tyr705のリン酸化には関与していなかった。NACによってその抗HCV活性は阻害されたことから、宿主細胞の活性酸素誘導能を介していることが示唆された。さらなる化学構造の展開によって、抗がん化作用をもつ抗HCV剤開発が期待される。HCV NS5Aに結合する宿主因子FKBP6/8がHCV複製に必須であることを前々年度に報告し、今年度、その阻害剤の構造展開を行い、抗HCV剤候補を探索したが、現時点で有用な候補は見つかっていない。昨年度、 p-TEFb阻害剤に抗B型肝炎ウイルス(HBV)活性を見いだしたことから、その類縁体の抗HBV活性を解析したが、毒性が高く有用な化合物候補は見つからなかった。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)
Journal of Virology
巻: 92 ページ: e01997-17
10.1128/JVI.01997-17.
Antiviral Research
巻: 145 ページ: 123-130
10.1016/j.antiviral.2017.07.018
Current Opinions on Therapeutic Targets
巻: 21 ページ: 827-836
10.1080/14728222.2017.1369959.