現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度は三年計画の一年目であるが、当初の期待以上に順調に進行している。BRRF2、BGLF3.5、BDLF4については抗体を作製してウイルスタンパク質を同定した上、大腸菌内遺伝子組み換えの手法で欠損ウイルスを作製して、そのフェノタイプを野生株や変異復帰株(リバータント)と比較検討した。 BRRF2はウイルス産生時、感染性ウイルス粒子の成熟やウイルス粒子の放出に貢献する遺伝子であることが明らかになった(Watanabe et al., Virology 2015 p33)。 BGLF3.5については、ウイルス増殖について欠損株と野生株、リバータントとの間に有意な差が認められなかったことから、少なくとも培養細胞レベルでのウイルス増殖には不要であることが明らかになった。しかし、このBGLF3.5及び周囲のウイルス遺伝子の転写産物を注意深く解析したところ、BGLF3.5の発現は翻訳停止(translation termination)によって抑制されており、下流のBGLF4というウイルス増殖に重要な役割を果たすキナーゼ遺伝子の発現が翻訳停止/再開始(termination re-initiation)という、極めて特殊なメカニズムによって増強されていることが分かった(Watanabe et al., 2015 Virology p44)。 BDLF4は、ウイルスの後期遺伝子の発現制御に非常に重要な役割を果たす転写複合体のひとつで、欠損するとウイルス後期遺伝子の発現が正常にできなくなることを見いだした(Watanabe et al., J Virol. 2015 p10120)。 この他、さらにEBVのDNA複製ポリメラーゼであるBALF5遺伝子の特異的モチーフについても報告した(Narita et al., Sci Rep 2015 11767)。
|