研究課題/領域番号 |
15K08497
|
研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
渡邊 洋平 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50452462)
|
研究分担者 |
鈴木 康夫 中部大学, 生命健康科学部, 客員教授 (00046278)
大道寺 智 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (80432433)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | ウイルス学 / 人獣共通感染症学 / 感染病態学 / インフルエンザウイルス |
研究実績の概要 |
H5N1高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1ウイルス)が予想より遥かに少ない遺伝子変異の蓄積によって飛沫伝播能を獲得すると報告され、H5N1ウイルスのパンデミック化機序の解明は急務となっている。しかしながら、先行研究の多くが人工的な変異選択実験であるため、より詳細なH5N1パンデミック化機構の解明には、感染患者体内における実際のウイルス感染動態に基づく新しいアプローチが求められている。本申請課題では、エジプト研究機関との連携により集積化させた同国のH5N1感染患者由来ウイルス遺伝子情報に基づき、ヒト生体内で選択されたアミノ酸変異を網羅的に検索し、当該変異がウイルスのヒト感染性に与える影響を包括的に評価することで、H5N1ウイルスの新規パンデミック化機構の分子基盤を明らかにすることを目的としている。 本年度は、マスデータ解析によって探索した感染患者体内で選択されたと推定されるHA領域における適応変異を導入した組換えウイルスを作出し、レセプター結合特異性、膜融合活性および熱安定性試験を実施した。その結果、変異ウイルスがレセプター特異性、膜融合活性および熱安定性のバランスを変化させることで、ヒト細胞への高い感染性を獲得することが明らかとなった。また、ポリメラーゼ領域における変異については、初代ヒト呼吸器細胞におけるウイルス複製に与える影響を評価した。その結果、選択された変異の幾つかについて、ヒト細胞で特異的にウイルス増殖性を高める効果を示すことが明らかとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マスデータ解析によって探索した感染患者体内で選択されたと推定されるHA領域における適応変異を導入した組換えウイルスを作出し、レセプター結合特異性、膜融合活性および熱安定性試験を実施した。また、ポリメラーゼ領域における変異については、in vitroでの効果試験が終了した。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、今年度に決定したHA変異によるHA機能変化がヒト細胞におけるウイルス複製に与える影響を評価すると共に、ポリメラーゼ領域の変異については、in vivoでのウイルス増殖性をマウス感染実験により評価する。
|