研究課題
殆どのDNAおよびRNAウイルスではcDNAから感染性ウイルスを人工合成することを可能とする遺伝子操作系(リバースジェネティクス系)が活用されているが、重要な下痢症ウイルスであるロタウイルスにおいては、その開発が困難を極めた。私たちは、ヘルパーウイルスを用いる系ではあるが、その開発に世界に先駆けて成功した。一方で、この系は回収ウイルスから組換えウイルスを単離するための強力な選択条件が必要であり、変異導入で増殖能が大きく低下した変異ウイルスの回収は困難である。そこで、現在のシステムを発展させ、全11本のゲノム分節がcDNA由来の感染性ロタウイルスを作出する技術の樹立を目指している。実験室株であるサルロタウイルスSA11株とヒトロタウイルスKU株について各々11個のT7プラスミド(T7 RNAプロモータ下流にロタウイルス遺伝子を配置)を構築した。これらプラスミド上のロタウイルスシーケンスを慎重に検討した上で、様々な条件下でT7 RNAポリメラーゼを発現する培養細胞株に導入することでcDNA由来ロタウイルスの作出を試みている。プラスミド上で一部のゲノム分節に遺伝子マーカーとなるサイレント変異を導入することで、回収されるcDNA由来ロタウイルスと実際の親株との区別が可能となる。
3: やや遅れている
構築したT7プラスミドをT7 RNAポリメラーゼを発現する培養細胞に導入することで、cDNA由来のロタウイルス作出を試み始めたところで、未だウイルス回収の成功には至っていない。
T7プラスミドを培養細胞に導入する際の各種条件が整ってきたので、これまで以上のペースでcDNA由来ロタウイルスの作出と回収を精力的に試みる。
当該年度はプラスミド調製が主であったために、高価な試薬類を大量に使用する回数が少なく、次年度使用額が生じた。
次年度は、構築したプラスミドを培養細胞に導入する実験が中心となるため、大量の高価なトランスフェクション試薬と細胞培養器具および試薬のために、次年度使用額をあわせて使用する。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 6件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 6件、 謝辞記載あり 6件) 学会発表 (2件)
Jpn J Infect Dis
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