研究課題
本研究では、ピコルナウイルス感染症のうち、膵・心筋親和性ウイルスに着眼し、その持続感染と発症に関わる宿主側、ウイルス側要因を明らかにする事を目的とした。まず、ウイルス血症モデルを利用し、コクサッキーウイルス臨床分離株の成マウスに対する膵・心筋親和性を評価した。ヒトに心筋炎を引き起こしたコクサッキーウイルスB群2型分離株を免疫不全状態のNOD/SCIDおよび免疫正常であるBALB/c成マウスに対して静脈内接種したところ、いずれの動物も8日前後をピークとして一過性の体重減少を示したがいずれも回復傾向を示し、接種後3ヶ月以上生残した。しかしながら、観察期間中,長期にわたってNOD/SCIDマウスの便中と血中に感染性ウイルスが維持されたことがわかった。また、観察期間終了時の病理学的解析により、これらの個体は膵炎と心筋炎が遷延していたことが明らかとなった。一方、BALB/cにおいては膵組織で脂肪置換が認められ、感染早期の一過性の急性膵炎が示唆された。宿主の免疫不全状態はコクサッキーウイルスB群2型の膵、心組織における持続感染を引き起こすことが判明した。一方、サフォードウイルスに関する研究では、上気道炎患者由来株が新生仔マウスの脊髄に脱髄様病変を形成することに着眼し ddY系統とBALB/c系統マウスでの病変形成を比較したところ、BALB/cマウスでは病変形成に乏しいことが明らかとなった。よって、脱髄病変形成における宿主側因子の関与が示唆された。
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Viruses
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