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2016 年度 実施状況報告書

免疫学的特異性から逸脱したマラリアにおけるT細胞応答の分子メカニズム

研究課題

研究課題/領域番号 15K08520
研究機関群馬大学

研究代表者

鈴江 一友  群馬大学, 大学院医学系研究科, 講師 (00333485)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2019-03-31
キーワードマラリア / 貧血 / T細胞 / 活性化 / ATP / ヌクレオチド / P2レセプター / マウス
研究実績の概要

本申請ではマラリア感染時に赤血球から物理的・化学的刺激に呼応して放出されるATPの免疫調節因子としての役割を明らかにする事を目的とする。赤血球はイオンチャネルを介して細胞内のATPを細胞外に放出し、ATPとその代謝産物は免疫細胞表面に発現するP2レセプターやP1レセプターに結合し、免疫調節因子として作用する。我々は申請前の研究で、マラリア感染において原虫非特異的T細胞の活性化とそれに引き続くExhaustionが誘導されることを見出した。昨年度の報告ではPannexin-1インヒビターのCarbenoxolone投与によって血中ATP値が有意に低下し、マラリア感染マウスのT細胞が生産するサイトカインが有意に低値を示すことを報告した。さらにこのサイトカイン生産はマラリア抗原と無関係な抗原を認識するTCRを有するT細胞においても同様の影響が認められた。本年度はマラリア感染時におけるATPの放出がこのマラリア非特異的T細胞に対してどのように影響を与えているのかを追究するために、ATPの放出とマラリア貧血との関係を追究した。CarbenoxoloneでATPの放出を阻害するとマラリア貧血は軽症化し、逆にマラリア感染マウスにATPを注射するとマラリア貧血が重症化した。このマラリア貧血はP2X7アンタゴニストのBBGやP2X7欠損マウスで軽症化した。マラリア貧血はマラリア抗原を認識しないTCRのトランスジェニックマウスにおいても感染に伴って発症することから、ATPがT細胞表面のP2X7に結合することで貧血が重症化することが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

貧血・発熱・脾腫がマラリアにおける特徴的な三大症状であるが、そのうちの一つのマラリア貧血の発症メカニズムにATPが関与していることが示唆された。興味深い結果が得られ、順調に進行している。

今後の研究の推進方策

今後の研究について、以下の実験を予定している。
今後、このATPがT細胞をはじめとする免疫細胞を介して、どのようなメカニズムで貧血の発症に関与しているのかについての分子メカニズムを追究する。また、マラリアで観察されるほかの症状について、どのようにATPが関与しているのかについても追究する予定である。
マラリアで認められるユニークなT細胞応答にConventionalなT細胞応答のシステムが関与しているかどうかを臓器・細胞・分子レベルで追究する。
マラリア感染マウスではアレルギーや自己免疫症状の改善や各種感染症に対する抵抗性低下が認められるが、この現象にATPが関与しているかについて、CBXやヌクレオチド・ヌクレオシドアナログやインヒビターを用いて追究する。またATPに対するレセプターのP2X7の欠損マウスやP2Y2欠損マウスにマラリア原虫を感染させ、T細胞応答を追究するとともに、これらのマウスで野生型マウスと比較してマラリア感染時にアレルギーや自己免疫の症状に差が認められるか検討を加える。

次年度使用額が生じた理由

アメリカから購入予定だったマウスが在庫や入手性などの問題でスムーズに入手することが出来なかったため。

次年度使用額の使用計画

昨年度予定した遺伝子改変マウスの購入とそれらの維持に費やす予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Pathogen non-specific bystander T cells were attenuated upon infection2016

    • 著者名/発表者名
      K. Suzue, H. Amano, T. Taniguchi, C. Shimokawa, O. Alex, R. Onishi, H. Hisaeda
    • 学会等名
      International Congress of Immunology 2016
    • 発表場所
      Melbourne, Australia
    • 年月日
      2016-08-21 – 2016-08-26
    • 国際学会

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公開日: 2022-12-28  

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