研究課題/領域番号 |
15K08520
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
鈴江 一友 群馬大学, 大学院医学系研究科, 講師 (00333485)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | マラリア / T細胞 / 活性化制御 / 細胞外ATP / ヌクレオチド / P2X7 / P2Y2 / マウス |
研究実績の概要 |
本申請は、赤血球から放出されるATPの免疫調節因子としての役割について解明することを目的としている。体細胞の1/3を占める赤血球は様々な刺激に呼応してPannexin-1などのATP放出チャネルを介してATPを放出し、そのATPと代謝産物は細胞表面に発現するP2レセプターやP1レセプターを介して免疫系を調節する。 我々はこれまでの研究で、マラリア感染に伴い、原虫特異的なT細胞だけでなく、宿主が持つすべてのT細胞が抗原非特異的に顕著な活性化制御を受け、一過性の免疫抑制状態が誘導されることを見出した。感染時におけるこのT細胞の制御は、Carbenoxolone投与によってPannexin-1を介したATP放出をブロックすることで部分的に阻害された。 本年度はIn vitroの実験により、マウスに15種類存在するP2レセプターのうち、ATPがどのレセプターを介してT細胞の活性化制御を行っているかを調査したところ、P2X7アンタゴニストBrilliant Blue G(BBG)を添加した場合では、無添加コントロールT細胞と比較してT細胞の活性化が抑制された。このことはP2X7欠損T細胞においても野生型T細胞と比較してT細胞の活性化が抑制されることから、ATPはP2X7を介してT細胞を活性化する事を見出した。現在、ほかのP2レセプターに着目し、その候補分子の欠損マウスの入手を試みつつ、引き続きIn vivo及びIn vitroの実験によってT細胞の活性化制御を担当する分子メカニズムの解明を進めているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マラリア宿主では血中ATP濃度が一過性に極めて高値に上昇することや、ATPに対するKd値が最も高いこと、また免疫細胞(特にT細胞)に強く発現していることから、15種類のP2レセプターのうちでP2X7の関与を疑った。そしてATPがP2X7を介してマラリア感染宿主のT細胞を非特異的に活性化することを見出した。前年度の研究ではP2X7を介してマラリア症状で最も重要なものの一つである貧血がATP-P2X7を介して悪化することを証明したが、本年度はそのATP-P2X7経路がマラリア免疫応答の活性化を促進することを見出した。感染におけるT細胞の抑制は別のP2レセプターか、もしくは別のリガンドとレセプターのコンビネーションが担当していることが示唆されたため、現在目的分子の欠損マウスを入手する手配を整えているところである。
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今後の研究の推進方策 |
本年度はそのATP-P2X7経路がマラリア免疫応答の活性化を促進することを見出した。感染におけるT細胞の抑制は別のP2レセプターか、もしくは別のリガンドとレセプターのコンビネーションが担当していることが示唆されたため、現在目的分子の欠損マウスを入手する手配を整えているところである。その欠損マウスにおける抗マラリア免疫応答の活性化及び活性化制御を追究する。
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次年度使用額が生じた理由 |
テーマに従ってマラリア感染宿主における非特異的T細胞の活性化・活性化制御メカニズムについて追究してきた。その非特異的応答にATPが関与することは既に報告した通りであるが、ATP-P2X7経路については非特異的T細胞の活性化を誘導することを見出した。逆に活性化制御については、ほかのレセプターの関与が示唆されたため、現在その受容体欠損マウスを入手する手配を行っているところである。
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