予防接種に代表される免疫記憶は、二百年以上前から知られる現象であるが、詳細な分子機構は未だ不明な点が多い。我々はその中心を担う記憶ヘルパーT細胞に焦点を当て、抗原に対する反応を統合し解析したレスポンソームのデータベース構築に成功した。また詳細な解析の結果、記憶T細胞のepigenetic制御および転写後制御機構が、迅速な抗原応答に重要であることを見出した。前者の機構には、ポリコームやトライソラックス群による空間的相互作用が、後者の機構には特定のRNA結合タンパク質が、それぞれ関与することも判明した。今後は、これらの研究結果を新規ワクチン開発やアレルギー疾患治療へ繋げていきたい。
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