研究課題
<in vivo Th9細胞を検出する評価系(ova惹起の気道炎症モデル)の構築>オバアルブミン(ova)特異的なTCRを持つOTII Tgマウスから単離したナイーブCD4 T細胞をレシピエントマウスであるCD45.1コンジェニックマウスに静脈内投与し、24時間後にovaをLPSと一緒にマウスに経鼻投与した。その後、ovaの投与回数・投与期間を変化させながら経鼻投与し、顎下リンパ節、縦隔リンパ節、脾臓から細胞を単離し、ionomycinとPMAで単離した細胞をin vitroにて再刺激し、CD4 T細胞が産生するサイトカインのパターンと量を測定した。移入した細胞からその割合は少ないもののIL-9産生細胞を検出することができた。IL-4産生細胞はIL-2を高発現している細胞群と一致したが、IL-9産生細胞は他のサイトカイン産生細胞との相関は見られなかった。サイトカイン産生細胞の割合はIL-2 > IFNγ > IL-4 > IL-9となり、IL-9産生細胞の割合は最も少なかった。興味深いことに最後にovaを投与してから4~5日が経過すると、他のサイトカインよりもIL-9の発現量は減少した。この結果はin vitroでTh9細胞を分化誘導するときに、刺激後day3をピークに、それ以降IL-9産生量が減少することと一致する。これまで、1~2週間での急性期を念頭にしたモデルで行ってきたが、今後Th9細胞の分化に必須であるTGFβの関与が大きいと思われる慢性期を想定した気道炎症モデルにシフトする。
2: おおむね順調に進展している
in vivoにおけるIL-9産生細胞の検出に成功した。IL-9産生細胞はIL-5産生細胞と比較すると同程度の割合存在したが、T細胞が産生する主なサイトカインであるIL-2、IFNγ、IL-4などと比較するとその割合は低かった。in vitroでTh9細胞を分化誘導するためには、IL-4とTGFβが必須であり、in vivoではTh2細胞を検出できたことから、ナイーブCD4 T細胞をTh2細胞に分化誘導できるだけのIL-4が本実験モデルで存在していることが伺える。その一方で、Th9細胞の分化に必須なもう一つのサイトカインであるTGFβの発現量が少ないことが考えられた。そこで、TGFβの関与が知られている慢性炎症モデルを用いて、炎症を誘導して中長期間におけるIL-9産生細胞の評価を始めている。また、本目的以外にもアジュバンドとしてLPSのほかにAlumや真菌の死菌を使ったときに、IL-9だけでなく、他のサイトカインの産生量や産生パターンに変化があり、アジュバンドによるTh細胞からのサイトカイン産生パターンの違いもわかってきた。こちらも平行して研究する。
気道炎症モデルをこれまでの短期間(1~2週間)から、中期間(2~4週間)にシフトさせる。LPSをアジュバンドとして、IL-9を検出してきたが、一般的にTh2細胞を誘導することが知られているAlumやアスペルギルスの死菌を用いた検討も行い始めた。PU.1をTh9細胞に強制発現させても、IL-9産生の増強は確認できなかったが、Th2細胞に強制発現させたときにIL-9産生細胞が検出できた。このPU.1によるIL-9産生の増強にGFI1が関与しているかどうかGFI1欠損マウスを用いて検証する。
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
臨床免疫・アレルギー科
巻: 第64巻第1号 ページ: 103-106
http://www.m.chiba-u.ac.jp/class/meneki/index.html