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2016 年度 実施状況報告書

5D生体イメージングによる免疫応答の可視化解析

研究課題

研究課題/領域番号 15K08526
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

安達 貴弘  東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 准教授 (50222625)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード生体イメージング / B細胞 / カルシウムシグナリング / 細胞内シグナル / 自己免疫 / 腸炎 / アレルギー
研究実績の概要

これまでに生体イメージングに適したFRETを基盤とした細胞系譜特異的カルシウムバイオセンサーYC3.60発現マウスを用いて、5D生体イメージングを確立し、各種免疫組織の免疫細胞でで細胞の動態のみならず、カルシウムシグナリングも検出できることを示してきた。さらには自己免疫様モデルマウスで病態発症前に細胞内のカルシウムシグナリングに異常があり、超早期の未病を検出できることを示してきた。今年はさらに疾患と免疫細胞のカルシウムシグナリングの関連を調べるために、無菌マウスでは免疫が未熟でアレルギーになりやすいとされるので、無菌YC3.60発現マウスを作製し、生体イメージングで脾臓を観察したところ、恒常的に細胞内カルシウムが上昇した細胞が存在していることが認められ、炎症が蓄積していることが推測された。また、IgA欠損マウスを作製したところ、小腸で軽い炎症が見られ、子のマウスの小腸パイエル板を解析したところ、B細胞のカルシウムシグナリングが亢進していることが判明した。炎症性腸炎モデルであるDSS腸炎を誘導したYC3.60マウスではパイエル板B細胞のカルシウムシグナリングが著しく亢進していた。これらのことより、炎症性の腸炎でのB細胞の異常な活性化があることが強く示唆された。またアレルギーを発症しやすい高IgE産生のIgEノックインマウスでも、YC3.60発現マウスと交配し、脾臓の免疫細胞を調べたところ、無処理のアレルギーを発症しないマウスでも恒常的に活性化している細胞が増加していることが示唆された。これらのことより病態発症に先立って免疫細胞の異常な活性化があることが明らかになった。
さらに腸管での食シグナルの可視化にも成功した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

複数の病態モデルで生体イメージングによるカルシウムシグナリングを観察し、病態に先立って異常があることをリアルタイムで明からにでき、マウスモデルではあるが病態の超初期の未病検出系となりうことが証明できた。また、腸管上皮での食シグナルの可視化のシステムが構築でき、プロバイオティクスや腸内細菌叢との関連についても今後解析できるめどが立ち、おおむね順調に研究が推移したと考える。

今後の研究の推進方策

これまでに自己免疫疾患、炎症性腸炎などについて病態発症前から超初期にかけて、免疫細胞のカルシウムシグナリングに異常があることを突き止めてきたが、今年はアレルギー発症モデルやがんのモデル系で、免疫細胞の動態および活性化を生体イメージングにより解析し、経時的な病態の進行と免疫細胞の異常との関連を明にする予定である。また、無菌マウスを用いて、自然免疫系のリガンドが腸内にどのような作用をしているかを明らかにする予定である。細胞の移入実験と組み合わせ、特定の細胞種の機能について、細胞内シグナリングとの関連について調べ、その機能を明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

マウス施設の感染事故の影響で、実験が遅れ計画していた遺伝子組み換えマウスの作製ができなかったため。

次年度使用額の使用計画

既にベクターは構築したので、本年度の前半にはインジェクションを行い、遺伝子組み換えマウスを作製する予定である。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2017 2016 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] Visualization of Probiotic-Mediated Ca2+ Signaling in Intestinal Epithelial Cells In Vivo.2016

    • 著者名/発表者名
      Adachi T, Kakuta S, Aihara Y, Kamiya T, Watanabe Y, Osakabe N, Hazato N, Miyawaki A, Yoshikawa S, Usami T, Karasuyama H, Kimoto-Nira H, Hirayama K, Tsuji NM.
    • 雑誌名

      Front Immunol.

      巻: 7 ページ: (601) 1-8

    • DOI

      10.3389/fimmu.2016.00601. eCollection 2016

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] IgAの欠損は回腸粘膜特異的な炎症を誘発する2017

    • 著者名/発表者名
      渡部太郎、永石宇司、Jose Nisha、東海有沙、細谷明徳、 安達貴弘、渡辺守
    • 学会等名
      日本消化管学会
    • 発表場所
      名古屋国際会議場、名古屋、愛知
    • 年月日
      2017-02-17 – 2017-02-18
  • [学会発表] ”管として生きる”個体の腸内環境と免疫機能2016

    • 著者名/発表者名
      辻典子、平山 和宏、渡邉 要平、神谷 知憲、藍原 祥子、角田 茂、安達 貴弘
    • 学会等名
      日本消化吸収学会
    • 発表場所
      神戸ポートピアホテル、神戸、兵庫
    • 年月日
      2016-12-16 – 2016-12-16
    • 招待講演
  • [学会発表] CRISPR/Cas9-mediated mutations in mouse IgA locus and its characterization2016

    • 著者名/発表者名
      渡部太郎、永石宇司、Jose Nisha、東海有沙、細谷明徳、 小島裕大、安達貴弘、渡辺守
    • 学会等名
      日本免疫学会
    • 発表場所
      沖縄コンベンションセンター,宜野湾、沖縄
    • 年月日
      2016-12-05 – 2016-12-07
  • [学会発表] Visualization of immune responses by intravital imaging of Ca2+ signals2016

    • 著者名/発表者名
      ADACHI Takahiro, KARASUYAMA Hajime , YOSHIKAWA Soichiro
    • 学会等名
      日本免疫学会
    • 発表場所
      沖縄コンベンションセンター,宜野湾、沖縄
    • 年月日
      2016-12-05 – 2016-12-07
  • [学会発表] Effects of fermented food on immune response and gut microbiota of human faecal flora-associated (HFA) mice2016

    • 著者名/発表者名
      TSUJI Noriko M, KAMIYA Tomonori, WATANABE yohei,KAKUTA Shigeru, ADACHI Takahiro
    • 学会等名
      日本免疫学会
    • 発表場所
      沖縄コンベンションセンター,宜野湾、沖縄
    • 年月日
      2016-12-05 – 2016-12-07
  • [学会発表] 生体イメージングによる腸管でのシグナル可視化解析2016

    • 著者名/発表者名
      安達貴弘
    • 学会等名
      日本食品免疫学会
    • 発表場所
      東京大学、文京区、東京
    • 年月日
      2016-11-08 – 2016-11-09
    • 招待講演
  • [学会発表] IN VIVO VISUALIZATION OF Ca2+ DYNAMICS OF MYOEPITHELIAL CELLS IN LACRIMAL GLAND2016

    • 著者名/発表者名
      Kai Jin, Toshihiro Imada, Yusuke Izuta, Shigeru Nakamura, Takahiro Adachi, Kazuo Tsubota
    • 学会等名
      8th International Conference on the Tear Film & Ocular Surface:Basic Science and Clinical Relevance
    • 発表場所
      Conference Centre & Berlioz Opera House、Montpellier, France
    • 年月日
      2016-09-07 – 2016-09-10
    • 国際学会
  • [学会発表] プロポリスによる生体内での腸管免疫細胞活性化アルタイム評価2016

    • 著者名/発表者名
      安達貴弘
    • 学会等名
      日本食品科学工学会
    • 発表場所
      名城大学、名古屋、愛知
    • 年月日
      2016-08-25 – 2016-08-27
    • 招待講演
  • [備考] 食シグナルの生体内での可視化に成功 ~プロバイオティクスによるシグナルを検出~

    • URL

      http://www.tmd.ac.jp/mri/press/press34/index.html

  • [備考] 東京医歯大、産総研など、納豆菌の小腸上皮細胞への刺激を可視化

    • URL

      https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/17/01/27/02211/

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公開日: 2018-01-16  

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